昨夏の甲子園大会決勝を、南国沖縄で再現だ。日本ハム栗山英樹監督(57)が14日、沖縄・国頭で予定している16日の1、2軍合同紅白戦で、甲子園準V右腕のドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)と、同V右腕のドラフト5位柿木蓮投手(18=大阪桐蔭)のルーキー2人を、それぞれ先発起用すると明かした。1イニングほどと投球回数は限定的だが、注目の対決で2人の力量を測る。

   ◇   ◇   ◇

再び“夢の対決”が実現する。1次キャンプ地の米アリゾナから2次キャンプ地の沖縄・名護入りした日本ハム栗山監督が、16日紅白戦の先発に、昨夏の甲子園大会決勝で対決した2人のルーキーを指名した。準優勝に終わった吉田輝と、優勝投手の柿木だ。「夏の甲子園の再現って、あんまりないんだよね。楽しみだよね? 普通に考えて楽しみじゃない?」。指揮官の目が少年のように輝いた。

チームとともに14日早朝に帰国し、息つく間もなく車で約40~50分の国頭村へ。両ルーキーのブルペン投球を視察し「思った通り。いい時のボールはうなりを上げる」と吉田輝を評価した上で、紅白戦での“先発対決”を2人に伝達した。「(反応は)いい感じだった。驚いている感じはなかった」と、堂々とした2人の振る舞いに感心した。

米アリゾナで行った紅白戦では斎藤対清宮の“早実対決”を実現して注目を集めたが、次々に飛び出す栗山流の演出は単なる話題作りのためではない。「今年は勝ちきらないといけないシーズンで、想定通りの戦い方では一気に走れない」と新たな力の台頭を求める中で、チーム内の競争に刺激を与える狙いがある。

今回のケースでは、吉田輝や柿木以上に、若手投手陣への効果を期待。この日の2軍ブルペンでひときわ目を引いたのは、ルーキー2人と並んで投げ込んだ高卒2年目の田中瑛で「プライドがあるんだろ。すっげー、いい球を投げていた。それが大事。それがチーム力につながる」。他の選手の危機感をあおり、プラスαを生み出す構図だ。

もちろん、生粋の“野球好き”だからこそ思いついた夏の甲子園大会決勝の再現。「日本の野球界に対して、何かメッセージを送ってくれると思う」という注目の対決の陰で、知将はしっかりとチーム力を蓄える。【中島宙恵】