DeNAドラフト1位の上茶谷大河投手(22=東洋大)が、ロッテとの練習試合に先発し、実戦デビューを果たした。初回には同じドラフト1位ルーキー藤原に対して、自己最速タイの152キロを計測。井上からもカットボールで空振り三振を奪うなど、2回無安打無失点の完璧な内容でマウンドを降りた。

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いきなり見せつけた。上茶谷は、1回1死走者なしで、ロッテ期待のルーキー藤原を迎えた。2ストライクからの3球目、外角高めの直球は、球団のスピードガンで自己最速タイの152キロをマークした。前日19日に「初ホームランとか打たれたら、ニュースになっちゃいますから。そうならないように頑張ります」と話していた相手を最後は三ゴロに仕留め「やっぱり打たれたら…。意識はしました」と力が入ったことを打ち明けた。

昨季24発とブレークした井上に対しても、堂々たる投球を披露した。イニングが変わった2回先頭。2球で追い込むと、最後は外角へのカットボールで空振り三振。2回20球を投げ、パーフェクトに抑えた。ラミレス監督は「今日の結果には満足している。ポテンシャルもある」と高い評価を与えたが、上茶谷は自己採点を聞かれ「60点ですね。2イニングだけですし、打者一巡していない。ストレートに関しては、いい球もあったけど、変化球の精度がまだ」と浮かれることはなかった。

謙遜する本人とは裏腹に、他球団の警戒度は日に日に増している。巨人樽見スコアラーは、これまでブルペン投球、打撃投手の様子を観察し「1軍レベル。当然のように開幕ローテには入ってくる」と一挙手一投足に注目していたが、この日の試合を見て「いやいや見ての通りでしょ。欠点らしい、欠点がない。彼はやるね」と、さらに険しい表情を見せた。

次回登板は、26日の韓国KIAとの練習試合となりそうだ。「ちょっとだけ自信はつきました」と手応えを口にした一方で「大学とは違う。スイングも全く違う。プロの打者は体も大きいし。1球も気が抜けない」と改めて、自分が歩み出した世界の大きさに気付いた。1歩ずつ、着実に、成長していく。【栗田尚樹】

▽ロッテ藤原(DeNA上茶谷と対戦して)「コントロールがすごく良かったですね。三ゴロ? インコース真っすぐです。だいぶ詰まりましたね。ちょっと(バットが)体から離れていたのでそれが振り遅れの原因。思ったように振れなかったです。いつも通りにプロの球だなと思いました」

▽ロッテ井口監督(DeNA上茶谷について)「こういう勢いのあるピッチャーはなかなか簡単には打てない。コントロールも良いですし、どんどん押してくるタイプだと感じた。(選手には)もっともっと積極的に打っていってもいいという話はした。どうしてもルーキーだと、みんな見てみたいという気持ちがあるからスイングを入れていかないので」

▽DeNA三浦投手コーチ(上茶谷について)「いいボールを投げていた。上出来でしょ。非常にいいスタートを切った」