阪神福留孝介外野手(41)が自身の野球観を日刊スポーツにつづる「福留STYLE」。19年最初のコラムです。2月27日に打ち上げた春季キャンプでは、若手選手と積極的にコミュニケーションを図った。その意図とは…。セ・リーグ野手最年長は、最下位に沈んだ昨季の屈辱を忘れるなと力説。本格的なオープン戦期間に突入するチームにグサリと突き刺さる言葉の数々。たっぷりと、どうぞ!【取材・構成=桝井聡】

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日刊スポーツ読者のみなさんこんにちは。キャンプから帰ってきました。沖縄では自分がやりたいこと、やるべきことに割く時間を取ってもらっていました。何か特別なことをするワケじゃないし、自分が今やらなければいけないことをその日その日、1つずつと思ってやってきた。ケガをしないように、そしてしっかりと体を作っていく。これはずっと変わらないことです。

キャンプ中はいろんな選手と話をしました。グラウンドだけじゃなくても。オレが誰かを教えるとか、そういうことじゃない。いろんな話をして、オレもまた勉強になることがある。この選手がどういう考えを持っているのか。それを知っておくのもまた1つ重要なことだと思っている。

例えば、晋太郎(藤浪)とはブルペンで打席に立った後に話をしました。投手が考えていることと、打者が考えていることは違うと思う。そういう意味で打者からの目線、考えというのを言ったときに、晋太郎が考えていることと合っているかどうか。晋太郎が思っていることと、打者が違うことを思っているかもしれない。話をするなかで、打者ってそういうふうに思うこともあるんですねっていう気づきがある。これはマイナスに考えなくてもいい。自分がマイナスと思っても相手は脅威になることもあるよと。ただ、オレが話したことを取り入れるか、取り入れないかというのは選手の自由。そこは分かっておいてほしい。

これから本格的にオープン戦が始まる。自分たちは去年、最下位のチームだった。その悔しさを持たなければいけない。いや、持たないといけないじゃない。持っているもんだと思っている。逆に言えば、その悔しさ、屈辱を持たずにキャンプに来た人は、このチームにはいないはず。そこはこれからも大いに意識していくべきじゃないかなと思う。

もう1度ショートに挑戦しているトリ(鳥谷)を見ていてどう思うか。自分でチャレンジしにいっているし、絶対にオレは負けないという思いが、全面に出ている。本当に負けたくないっていう強い思いがね。それがトリだったり、糸井であったり。糸井でも確かにオレらと一緒で、ある程度時間を自由にやらせてもらっているけど、自分で何をしないといけないということを理解しながらやっている。

セ・リーグ野手最年長という枕ことばを使われるけど、年齢がどうこうというのは考えたことはない。自分ができると思ってグラウンドに立っているわけだから。自分のやるべきこと、できることをやる。これから開幕に向けてやることはたくさんある。帰ってきて気温差もあると思うし、何よりもケガについては気をつけてやっていきたい。できることを大切に。そこは変わらない。(阪神タイガース外野手)

▽阪神福留の今キャンプ

◆2月1日 ランチタイムに行われたフリー打撃に糸井、マルテらと登場。48振で柵越え4本。

◆同2日 通常メニュー後、若手の打撃練習で北條、糸原らの打撃投手を務めて97球。

◆同3日 多くのファンの前で坂道ダッシュ。20メートルと30メートルを計10本。ファンのアンコールに2度応え、計12本。

◆同5日 ブルペンの打席に立ち、岩貞17球、馬場15球、最後は藤浪の打席で11球を見る。その後、宜野座ドームで藤浪に約10分間の講義。

◆同10日 サブグラウンドでFA加入の西、ルーキー斎藤にバントをレクチャー。

◆同12日 ブルペンで西の打席に入り34球。西は「憧れている人なので幸せな時間」。

◆同16日 馬場、浜地、望月、藤浪を相手に約30分間、走者から見たセットポジションの癖を指南。

◆同20日 実戦想定形式のフリー打撃で藤川とドリスから1安打ずつマーク。健在ぶりを発揮。

◆同24日 古巣中日とのオープン戦に3番左翼で出場。今季初実戦の初打席でバックスクリーンへ今季1号。

◆同26日 紅白戦に白組の4番DHで先発。6回の3打席目には詰まりながらも斎藤から左前打。

◆同27日 キャンプ打ち上げ。「体の状態は70~80%まで上がっている」とコメント。