「敵地・マツダスタジアム」に見参する。広島からFA加入した巨人丸佳浩外野手(29)が、移籍後初の古巣との対戦に向け4日、夕方着のチーム便よりも一足早く広島入りした。5日から広島とのオープン戦2連戦が始まる。3月29日の開幕カードの前哨戦となる敵地での広島戦で「巨人丸」として古巣との真剣勝負を予告した。

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東京駅発の下り新幹線に乗り込み“第2の故郷”に向かった。丸はスーツに身を包み、引き締まった表情で闘志を潜めた。「凱旋(がいせん)ではないですけど、今まで一塁ベンチで試合をしていた。今回は三塁側。景色や雰囲気も違う。開幕がマツダなので雰囲気を知るためにも大事な2試合になる。しっかり把握できればと思います」。今月下旬に控える開幕カードを意識した。

三塁ベンチからは、真っ赤に染まるスタンドが目の前に広がる。昨季までの味方は対角のベンチに陣取り、完全アウェーでの戦いを強いられる。「自分の中でプロである以上、割り切ってやらなければいけないと思っている」と、自らの決断から逃げも隠れもしない。昨年12月11日の入団会見から巨人の一員に加わり、最大のライバルと見られる古巣との初対戦を前に「いいものを出せればと思います」と話した。

慣れ親しんだ打席に舞い戻る。マツダスタジアムでの通算成績は528試合で532安打、269打点、74本塁打で打率2割9分3厘。昨季は64安打、48打点、20本塁打で打率3割2分5厘をマーク。1軍初出場の10年からの9年間は文字通り“庭”にしてきた。

今回からは相手が異なる。5日は床田、岡田が登板予定。6日は野村との対戦も控える。「カープの投手陣と真剣勝負をすることは、なかなかなかった。持ち球や使い方は分かるけど、実際に打席に立って球筋を見たい。投手の球質、球道イメージして打席に入れたら」と入念に準備を進める。意味と意義のある重要な前哨戦になる。【為田聡史】