ポスト丸筆頭が開幕2軍のピンチ。広島野間峻祥外野手(26)が2軍降格することが15日、分かった。ウエスタン・リーグ開幕のソフトバンク戦(由宇)に「1番中堅」で先発出場。3回に三塁打で出塁した後、味方の左前打で本塁を踏み忘れる凡ミスでアウトとなった。当初は1軍再合流の予定だったが、激怒した緒方監督から2軍降格を通達された。逆転での開幕1軍には、自力ではい上がるしかない。

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2軍のソフトバンク戦に出場した野間が、緒方監督の逆鱗(げきりん)に触れた。3回、快足を飛ばして三塁打を記録した直後だ。ドラフト7位羽月隆太郎内野手(18=神村学園)の左前打で生還と思われたが、本塁を踏み忘れて得点が取り消された。2軍からの報告と映像で確認した指揮官は大激怒。当初1軍に再合流する予定だった野間に、2軍行きを言い渡した。

「2軍で凡ミスしているようではダメ。しばらく2軍でやってもらう。怠慢プレーと言われてもいいプレーだ」

野間は開幕スタメン候補でもあったが、即断。同時に同点弾を含む3安打猛打賞の高橋大の1軍昇格を決めた。緒方監督は「守り勝つ野球」を掲げ、チームに凡事徹底を植え付けてきた。少ない好機を得点につなげる機動力も、緒方野球の武器。それだけに、「守走」を持ち味とする選手の信じられないミスに怒りを抑えきれなかった。

非情な決断の裏には、大きな期待がある。チームトップの守備力を誇る野間は、昨季は打撃面の成長を見せ、丸が抜けた中堅の最有力候補だった。ただ、オープン戦では打撃状態が思うように上がらず、ベンチスタートも増えた。首脳陣は復調のきっかけをつかむことを期待して1軍からただ1人、2軍での実戦に送り出した。だが、皮肉にも与えられた実戦で、自らの立場を厳しくしてしまった。

開幕まで2週間、広島の外野手争いは混沌(こんとん)としてきた。中堅は勢いに乗る西川に加え、当初は左翼候補だった実績ある長野も浮上。左翼はその2選手に加え、一塁も兼務する松山やバティスタ、坂倉もいる。思わぬ形で出遅れた野間にも、巻き返すチャンスは残っている。危機感と反骨心を胸に、ここからはい上がっていくしかない。【前原淳】