ダチョウ倶楽部の魂を“唇”に…。2年前「竜ちゃん」から唇を奪われたDeNA佐野恵太外野手(24)が、開幕カード勝ち越しを決めるサヨナラ打を放った。

2-2の9回1死一、三塁。「どーぞ、どーぞ」と柴田の代打で回って来た打席。「自分で決めてやると思って打席に入りました。来た球を打とうと思っていた」と“くるりんぱ♪”することなく、145キロ直球を強振。打球は左前で「ドンッ」とはねた。

仲間の祝福は「熱湯風呂」ではなく、水やスポーツドリンク。「押すな、押すな」と言うまでもなく浴びせられた。29日の開幕戦は代打で登場し、左翼線への2点二塁打で勝利に貢献。これで2打数2安打3打点だ。「チャンスで使ってもらっている。9回に入ってから、どの場面でも行けるようにしていた」。“聞いてないよ~”と言うはずもなかった。

脳裏によみがえるのは、新人だった17年4月6日巨人戦。試合前セレモニーで、ダチョウ倶楽部の上島竜兵とお決まりの“ケンカからのキス”を交わした。くしくもこの日、ダチョウ倶楽部が5年連続で試合前に登場した。佐野は2年ぶりのコラボを果たせなかったが「覚えていますよ。昨年も参加させてもらって。毎年楽しみにしています。レギュラーを取るためにも、打ち続けるしかない」。16年ドラフトでは87人中84番目の指名だった大砲候補。唇に宿した日本の伝統芸能を味方に「ヤ~」と、DeNAでスポットライトを浴びる。【栗田尚樹】