阪神矢野燿大監督(50)が5戦連続の打線改造で広島戦勝ち越しをたぐり寄せた。この日は2番に糸原を指名。

昨季、17試合で打率2割8分4厘と好結果を残した打順を託すと、水を得た魚のごとく快音連発だ。試合前まで打率1割台と不振だったのがウソのような今季初の猛打賞を決めた。

指揮官は「苦しいなかで2桁安打だったり(糸原)健斗もいい形で出た。みんなが絡めて、チームにとってもいい勝ち方」と目を細める。ワンサイドゲームに持ち込んだのも糸原の一撃だった。3回2死二塁で九里の外角フォークをとらえるとライナーで左前へ先制適時打。5回の右中間二塁打、8回の中前打はいずれも強い打球で、ともに得点に結びつく一打になった。

春先から本調子ではなく開幕後も6、7番を打ったが、上位に戻るとキレが戻った。糸原も「去年と同じように塁に出る、クリーンアップにつなぐことを思っていた。今日はいい形が出た。たまっていた部分がスッキリ出た」と胸をなでおろした。チームは今季初の2桁13安打で今季最多の9得点。球団史上初めて開幕から8戦連続3得点以下だった、悪循環を断った。

「ゴールはケチャップみたいなもの」と話したのはサッカー本田圭佑だが、阪神も貧打解消でドバドバと得点が出た。矢野監督は2番糸原について「シーズンを通して、いろいろ試行錯誤しながら、やっていく。つながりも良かった」と話し、今後もベストの布陣を探る。9日は本拠地開幕のDeNA戦。「これで甲子園に帰れる。いい気持ちでいける試合になった」と前を向いた。【酒井俊作】