ハマの2代目「虎キラー」が、前夜の悪夢を払拭(ふっしょく)した。DeNA浜口遥大投手(24)が、阪神相手に1安打完封勝利を飾った。7四球を出しながら1安打完封はセ・リーグ初の珍事。これで阪神相手に甲子園球場では、デビューから5戦3勝。前日に5点リードから逆転負けを喫したチームを左腕が救った。

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思わず、阪神ファンから「すごいぞ。浜口」と声が掛かった。甲子園のヒーローインタビュー。いつもは、ヤジを飛ばす虎党もうなるしかなかった。浜口が9回136球1安打で、自身初完封&今季チーム初完封勝利をもたらした。

浜口 三浦コーチが『俺が監督に推しておく』と言ってくださった。それに応えるだけだった。

最大のピンチは8回。3個の四球で満塁を迎えた。2死満塁で糸原。唯一の安打を許した相手だった。マウンドに駆け付けた三浦コーチからは「攻め続けろ」とだけ伝えられた。昨季は左肩の違和感で4勝どまりの16年ドラフト1位左腕。オフに股関節、尻周りのトレーニングを強化。「下半身で投げることを再確認した」。スライダー、チェンジアップと2球で追い込み、1球直球を挟み、最後は宝刀チェンジアップで遊飛。思わず「おっしゃー」と雄たけびを上げた。

チームの流れを変えた。初回2死一塁から糸原をけん制で刺した。3回にも、四球で出塁させた北條をけん制死。7四球を与えながら、要所で膝元への直球、チェンジアップでタイミングを外した。ラミレス監督も思わず「終盤にリリーフを準備させていた。それでも、彼の1人で抑えるという力強さを感じた」と最後まで任せた。

試合の流れだけでなく、チームの雰囲気まで変えた。ルーキー上茶谷が先発した前夜、一時は5点のリードがあった。8回2死満塁から右翼手・ソトが右中間への飛球を落球。この回に6失点。悪夢とも言うべき逆転負けから一夜明け、浜口が一転させた。

甲子園で、阪神相手に負けなし。かつて現役時代に「虎キラー」の異名を持った三浦コーチが「めっちゃうれしいよ。俺は。めっちゃうれしい」と珍しく声を上げるほど、2代目の背中は頼もしかった。【栗田尚樹】