先発に再転向したオリックスの山本由伸投手(20)が、粘りの投球で今季初勝利を手にした。8回を3安打1失点。116球の熱投でつかんだ先発589日ぶりの白星だ。「とにかくうれしくて感動しています。最後に点を取ってくれた時は泣きそうになりました」。笑顔を爆発させ、仲間と喜びを分かち合った。

序盤は制球を乱し、2回に先制点を奪われた。「力が入っていた。みんなに声をかけてもらって修正ができた」。3回から8回までに浴びた安打は1本。最速153キロの直球と先発用に増やした多彩な変化球でロッテ打線を手玉に取った。

剛速球を生む強固な肉体は「やり投げ」鍛錬で作り上げた。師事するトレーナーの勧めで、17年オフから導入。長さ約70センチ、重さ400グラムのプラスチック製のやりで、今季開幕後も試合前の京セラドーム大阪などで投げて調整している。

「やり投げはやりを遠くに飛ばす種目。野球も速い球を投げる競技。違うとよく言われるけど、自分は一緒だと思う。あれのおかげでどんどん球も速くなって、体も楽になっている」

3日のソフトバンク戦は8回途中まで無安打無失点と好投したが援護なく白星を逃した。この日も我慢比べになったがブレなかった。「絶対最後に点を取ってくれることを信じて、粘っていこうと思っていた」。9回、その願いに後藤が勝ち越し打で応えてくれた。

新人の17年8月31日にプロ初勝利を挙げた地での白星。「ヒーローインタビューの感じが懐かしかった。ここからスタート。チームが優勝できるようにいっぱい勝ちたいと思います!」。チームも今季初めて最下位脱出に成功。高卒3年目の怪物右腕が、旋風を起こしそうだ。【古財稜明】

◆山本由伸(やまもと・よしのぶ)1998年(平10)8月17日生まれ、岡山県出身。都城(宮崎)から16年ドラフト4位でオリックス入り。1年目の17年8月31日ロッテ戦に先発し、2試合目でプロ初勝利。同年はすべて先発で5試合に登板(1勝1敗)。昨季はセットアッパーに抜てきされ、すべて救援で54試合に投げ、リーグ2位の36HPと急成長を遂げた。今季推定年俸は800万円から4000万円にアップ。178センチ、80キロ。右投げ右打ち。