評論家陣による阪神の戦いについての分析・提言や球界全体の話題、問題をプロの視点で語る日刊スポーツ「野球塾」。第3回は、元阪神監督・真弓明信氏(65)が16日からのヤクルト3連戦や4番で苦闘する大山について提言した。【取材・構成=寺尾博和】

  ◇    ◇    ◇

開幕から2巡目に突入する阪神は、16日からヤクルト、巨人と対戦する。6勝9敗。開幕ダッシュできなかった阪神にとって上位チームとの戦いは、シーズン序盤の踏ん張りどころだ。

わたしにも経験があるが、カード一巡で「見えていたもの」「見えなかったもの」が掌握できてくる。新人は使えるか、期待の選手の成長度は、ベンチワークは? 外国人は? まったく想定していなかったこともでてくる。

ここからはどのチームも多少のてこ入れをしながら戦いを変えてくる。阪神は開幕カードでヤクルトに2勝1敗、巨人に3連敗だった。今回はビジターの神宮(松山1試合)、ホームの甲子園で、なおさら戦い方が変わってくる。

前回はヤクルト山田哲を3連戦で2安打、バレンティンを、たった1安打に封じた。しかし、現在ヤクルトの85得点はリーグトップで、青木もいて、その上、ビジターとなれば、眠っていた開幕からは変貌していると踏むべきだろう。

ヤクルト戦は、先陣のガルシアをはじめ、いかに強力打線を抑えながら投手力を発揮できるか。なんとかカードの「頭」をとりたい。また、巨人戦ではホームで地の利を生かした戦いを繰り出したい。

阪神は打てない、打てないといわれてきた。確かに打てなかった。一方、2桁失点が3試合も見受けられて投打の歯車が合わなかった。ただ、わたしに言わせれば打つほうは上昇の兆しをみせている。

やはり「打」のキーになるのは大山だ。タイガースの「4番」が、結果が出ないとやかましくいわれるのは宿命でもある。長打力に乏しいチームで、もっともそのポジションにふさわしい素材であるのも事実で開花が待たれる。

大山をみていて感じるのは、あまりに後ろに重心を残そうと思いすぎているのではないかという点だ。速いボールには残してもいいし、逆に少し体を移動するというか、突っ込んで打ちにいってもいいと思う。

わたしは打撃フォームをいじるのは好ましくないと思っているほうだ。それより今の大山はいかに来たボールに対応するか、「反応力」を磨くのが先決。主軸が固まれば戦い方も、ペナントレースの風向きも変わってくる。(日刊スポーツ評論家)