阪神矢野燿大監督が激しく攻める采配で今季最多16安打13得点のワンサイドゲームを演出した。

3回に4点リードでも動いた。1死一、三塁でヤクルトは左腕中沢に継投。指揮官はベンチを出て木浪に代打上本を告げた。用兵は的中し、左犠飛で得点差をさらに広げた。

まだ序盤だ。早々に動いた理由を明かす。「俺、やることやらん選手とか、あきらめるような選手を使いたくない。あそこで(木浪が)前の打席に三振しても走らない。俺としては、あのチャンスで『それやったら上本』と。というところで代えた」。1回、木浪はワンバウンドのフォークに空振り三振した際、捕手は捕り損ねたが、一塁に走らなかった。振り逃げを試みず、前に向かわない。鬼采配で厳しさを突きつけた。

真綿で首を絞めるタクトを振り、敵を追い込んでいった。5点差をつけた4回は無死二塁で北條にバントのサインを出す。手堅く三塁に進め、糸井の中犠飛で追加点。指揮官は「チームとしてはしっかりとした形で点を取ることの方が大事。走者が三塁にいけば内野も前に来る。得点をどんどんできる状況になっていく。まだ序盤やし、しっかりした野球をやりたい」と説明。救援陣を温存したい思惑もあり、必死に得点を重ねた。

この日は開幕から先発出場を続けていたベテラン福留が休養で欠場。若手が躍動した。19日からは甲子園で巨人戦。4月初旬に3連敗した屈辱がある。指揮官は「チャレンジしていくしかない。(菅野は)いい投手。どんどん向かっていって、バットを振っていって、しっかり走って」と語気を強めた。【酒井俊作】