楽天平石洋介監督が、39歳の誕生日に「忘れられない」白星を飾った。5回まで打線がパーフェクトに封じられても、先発辛島が同点の7回に左ふくらはぎをつって降板しても、9回にウィーラーが決勝の6号3ランを放って3連勝。試合前には選手とスタッフ全員からサプライズでお祝いされ、腕時計をプレゼントされた青年監督。一体感あふれるチームの勢いは止まらない。

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9回を締めた松井から平石監督へ、流れるようにウイニングボールが渡った。「実は3つ目なんです」。自宅に飾る1個目は監督初勝利となる3月30日のロッテ戦。本拠地開幕だった2日の日本ハム戦の2個目は「僕はいいので、どうぞ」と勝利投手だった辛島がさりげなく持ってきた。今は楽天生命パークの監督室に置いてある。「本当は選手が受け取ってほしい。でも、選手の気持ちは非常にうれしい」と、ほほ笑んだ。

5回まで日本ハム杉浦にパーフェクトに抑えられた。2番手バーベイトに代わった直後の6回、先頭ブラッシュが同点2号ソロで勇気を与えた。「メジャーでもチームはファミリーなんだ」。試合前にボスの誕生日を全員で祝う光景は大リーグ時代と重なった。「ファミリーのような結束力の中に、ライバルがいて、競争がある。それが強くなるチームだと思う」。銀次が主将として掲げる理想のチーム像に近づきつつある。

チーム全員で指揮官に誕生日プレゼントを贈ったのは初めてだという。球団生え抜きの平石監督とはおのおの接してきた時間も長く、選手と年齢が近いからこそ生まれたアイデア。平石監督の左腕に光るGショックを自ら買いにいった銀次は「みんなが見ることができて、形に残るもの。試合中も身につけられるものと考えたら、腕時計しかなかった」とセレクトの理由を明かした。「この1勝は、忘れられない1勝になる。いい1日でした」。平石監督は、みんなの思いをかみしめた。【亀山泰宏】