名手がまさか…。広島田中広輔内野手(29)が、12球団の「令和初エラー」を含む2失策を記録し、4連敗のきっかけになった。打順が1番から8番に降格となり、2安打で意地を見せたが、持ち味の堅い守備が乱れた。12球団ワーストのチーム失策数は28試合目で27個に増え、波に乗れない要因の1つになっている。新時代に突入したが、王者の正念場が続く。

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まさかの光景だった。広島の5回無死一塁の守り。遊撃田中広が、木浪の併殺コースの打球を捕球しそこね、オールセーフの失策となった。打球がイレギュラーした不運はあったが、処理できても、いい当たり。先発野村がこれをきっかけに崩れ、この回4失点。展開は一気に劣勢に動いた。

田中広 (野村)祐輔がいいピッチングをしていたのに足を引っ張った。僕が試合を壊してしまった。申し訳ない。

2回にも、名手田中広らしからぬ失策があった。大山の三遊間への当たりに対し、正面に入りながらファンブル。素早く拾って一塁送球したが、ワンバウンドの悪送球となった。これが午後2時59分。12球団の「令和初失策」となった。前日4月30日にも同じような打球を捕り損ねており、2日で3失策を犯したことになる。失策数は、リーグトップに並ぶ「5」となった。

田中広はこの日「定位置」の1番から8番に打順を降格されていた。試合前まで打率1割6分8厘。1番を外れるのは4月12日DeNA戦(横浜)以来2度目だ。前回は1試合で1番に戻ったが、今回は何の保証もない。2安打したが、高ヘッドコーチは「(代役1番の)野間もいい働きをしていたし、すぐには戻さない」と話す。田中広にとって、厳しい状況が続く。

12球団ワーストのチーム失策は、28試合目で27に増えた。ほぼ1試合に1個、失策が記録されている。緒方監督は「(田中広の2つ目の失策は)イレギュラーしたんじゃない? (守備陣は)集中してやってくれているし、ミスは出ることもある」とかばったが、乗れない原因の1つになっているのは確かだ。

田中広は、3連覇の原動力となったキーマンの1人。早く攻守で本来の姿を取り戻したい。【村野森】