監督退場に燃えた! 広島サビエル・バティスタ外野手(27)が延長10回、豪快なサヨナラ打をかっ飛ばした。緒方孝市監督(50)が1回、菊池涼の走塁死に関するリプレー検証を巡り、開始15分で退場。令和では、両リーグ通じて初の監督退場。高ヘッドコーチが代理で指揮をとる中、直後に6号先制ソロを放ち、最後は3連勝をもぎ取った。ここ7試合で5発、7戦連続打点の助っ人が、鯉を引っ張っていく。

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低空飛行の弾丸ライナーが、左翼手の頭上を越えていく。一塁ベースを回ったバティスタが、右手を高々と掲げた。延長10回2死二塁。緊急事態のチームを救う、値千金のサヨナラ打だ。「うれしいです。監督が退場して、勝たないといけなかった」。顔中に汗を浮かべて振り返った。

1回に緒方監督が退場した。開始わずか15分。1死走者なしで菊池涼が遊撃へゴロを放ち、巨人一塁中島がジャンプして捕球する間に一塁到達。オーバーランし、反射的に手から帰塁した際にタッチされ「アウト」とコールされた。これに対し、緒方監督が抗議。リプレー検証となり、判定通りアウトとなったが、再びベンチを飛びだした緒方監督に退場が宣告された。福家球審は「リクエストによる判定に異議を申したことにより退場としました」と場内にアナウンスした。

高ヘッドコーチが代理で指揮を執る緊急事態。バティスタは燃えた。直後の打席で右翼席へ先制の6号ソロをたたき込んだ。6回先頭では中前打でチャンスメークし、延長10回のサヨナラ打につなげた。

試合前の円陣。常連の上本に代わり声出し役を務めた。声を合わせる呼吸が合わず、ナインがずっこける場面もあったが、最後は全員で気合を入れた。「何も話してない。みんなに応援されてただけ」と明かしたが、ムードメーカーとしての役割も大きい。ここ7戦で5発目で、7戦連続打点。打ってよし、いじられてよしの最強助っ人だ。

高ヘッドは「バティが最後よく決めてくれた。みんな期するものがあったと思う」と話した。ベンチ裏で見守った緒方監督は「退場処分になってチームに迷惑をかけたこと、冷静になれなかったことをものすごく反省している。よく勝ってくれた」と話した。緊急事態を乗り越え、鯉が上昇気流をつかんだ。【村野森】