大腸がんからの復帰を目指す阪神原口文仁捕手(27)が、ウエスタン・リーグ中日戦で実戦復帰した。

8回1死から伊藤隼の代打で途中出場。伊藤準の2球目144キロの直球を振り抜き、フェンス際まで飛ぶ特大の右飛を放った。安打とはならなかったが、ベンチへ帰る原口に、観客からは大きな拍手。「ようやった!」の声も飛んだ。昨年10月13日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、207日ぶりとなる実戦出場になった。

試合後には平田勝男2軍監督に促されマイクパフォーマンスを行った。「おつかれさまでした! 野球はやっぱり楽しいですねえ。最高です! 今日も応援ありがとうございました!」。原口の素直な気持ちがこもった言葉に、スタンドからは「おかえり!」の声も飛んだ。

「今日を迎えられてすごくうれしい気持ちと感謝の気持ちです。なるべく早くという気持ちで、たくさんの人に支えられてやってきたので、今日が迎えられて良かったです」と笑顔で振り返った。「楽しかったですね、久しぶりに。この気持ちを一生持ってやれるように、きつい時も必ずあると思うので、この気持ちを大切に今後頑張っていきたいと思います」。野球ができる喜びを改めて実感した。

原口は昨年末に大腸がんと診断され、1月末に手術を受けた。3月に2軍に合流し、復活へ向けてここまで1歩ずつ段階を踏んでいる。

 

★阪神原口の闘病経過★

◆がん診断 昨年末、人間ドックを受診し、大腸がんと告げられる。

◆がん公表 1月24日にツイッターを開設し、大腸がんで手術を受ける意思を公表。

◆手術報告 1月31日にツイッターで「先日、無事に手術終えました。順調に回復してます」と報告。

◆退院報告 2月6日にツイッターで退院を報告。「少しずつリハビリを始める」。

◆2軍合流 3月7日、2軍に合流。鳴尾浜の室内でトレーニングを始める。

◆初屋外フリー 4月16日に屋外フリー打撃を開始。約80スイング中、柵越え5本。

◆全体練習合流 5月8日に2軍全体練習に合流。フリー打撃やバント練習、キャッチボールなどを行う。

 

◆原口文仁(はらぐち・ふみひと)1992年(平4)3月3日生まれ、埼玉県出身。帝京では3年夏に甲子園出場。09年ドラフト6位で阪神入り。13年から育成契約となる。16年4月27日に支配下登録へ復帰し、同日巨人戦で1軍戦初出場。同年5月に打率3割8分、30安打、5本塁打、17打点で月間MVP受賞。昨季は代打で23安打を放ち、08年桧山進次郎と並び球団シーズン最多記録となった。通算成績は262試合、172安打、19本塁打、90打点、打率2割8分。182センチ、92キロ。右投げ右打ち。