困った時のトムさんは健在だった! 楽天が7点差をひっくり返して大逆転勝ちした。負ければ借金生活に突入する首位相手の試合で、4回までに先発辛島が7失点。5回から登板した戸村健次投手(31)が4回無安打無失点4奪三振の好投で、劇的サヨナラの立役者となった。

4回裏にブラッシュの2ランで反撃態勢に入ったところで戸村が登場した。平日のデーゲームにもかかわらず多くのファンが詰めかけていた。仙台市教育委員会が推進している職場体験プログラム「弟子入り体験、職場体験」で、市内の小中学生約1130人も見つめる中、このまま終わるわけにはいかなかった。

予告先発が、試合当日に体調不良や故障などで登板を回避した際の代役として有名となった。15年に辛島、17年には岸の代役として緊急先発し勝利を飾り、「困った時のトムさん」と呼ばれるようになった。

この日も大差がついてからの「困った」登板。そして昨年5月22日オリックス戦で西野のライナーがアゴを直撃し、骨折で全治3~4カ月の重傷を負って以来の復帰戦だった。「2軍では先発だったので、久々の中継ぎは正直不安だった。でもマウンドに上がればやることはいっしょ。打者としっかり勝負しようと心がけた」と、約1年ぶりの今季初登板で本領を発揮した。平石監督は「最高のピッチング。高梨と2人がよく粘ってくれた」とたたえた。敗色濃厚の中、楽天が脇役の活躍で大きな1勝をものにした。【野上伸悟】