西武山川穂高内野手(27)が、母の日に日本人最速100号本塁打を達成した。3回、左翼スタンド最上段へ運ぶ推定飛距離140メートルの特大14号2ラン。通算321試合目での達成は、球団OBでもある秋山幸二氏の351試合を大きく塗り替えた。

7回には101号もマーク。チームの連敗を5で止めるメモリアル弾を、女手ひとつで育ててくれた母親に届けた。

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ためていた分、メモリアル弾は大飛球となって左翼スタンド最深部へ飛んでいった。その軌道を山川は最後まで見届けることなく、バットを置いた。最上段へ着弾した通算100号本塁打は、140メートルの特大弾。「理想でしたね。感触は完璧でした。詰まると残るんですけど、この手に残らない感触が完璧」。7回の第4打席では101号もマーク。王手から5試合ためた分、一気にはき出した。

お立ち台では北の大地から、母の日に感謝の気持ちを届けた。「あそこまで飛ばせる体にしてくれて感謝してます!」。高校まで過ごした沖縄で、食事は母・喜代子さんの分まで食べていた。「台所でお母さんはパンを2つ食べるだけ。本当にこの体はお母さんにつくってもらったようなもの。決して裕福じゃないのに」と振り返る。

優しさだけじゃない。小学校時代ゲームに没頭していると、「練習しなさい」とたたき壊された。厳しさとともに育てられたから、ホームランバッター山川穂高がある。試合前にメールで伝えていた感謝の気持ちを母の日弾で形にし「お母さんの力ですかね、念というか。母の日にいいプレゼントができてよかった」。記念球は母の元に届ける。

通算321試合での100本塁打は、秋山幸二氏を抜く日本人最速となった。1軍での出場機会が増える中、秋山氏から助言を受けたことがある。擬音をまじえながら左手の使い方を教わり「お前は左手1本でホームラン打て!」。今でもティー打撃では左手だけでスイングする。グリップに左手薬指と小指をかけ「ムチのようにやわらかくバットを出す」(山川)という打撃感覚を染み込ませ、打席に立っている。

4番らしく、アーチでチームの連敗を5で止めた。「何よりも勝てたことが一番。みんなどうにかしないとなって思っていたから」と母に育てられた大きな胸をなで下ろした。ホームランキング独走状態の15本にも「まだまだ通過点」と、次の1発を見据えた。【栗田成芳】