グワァラゴワガキ~~ン! 西武山川穂高内野手(27)がド迫力の本塁打を放ちチームの連勝に貢献した。

3回、打席内で右膝を地面に食い込ませる豪快極まりないスイングで左翼席へ。ホームランダービーを独走する16号ソロで秋山と連弾とし、一気に試合の主導権を奪った。12日に日本人最速ペースで通算100号をクリアしたばかり。漫画を地でいく山賊打線のドンが止まらない。

バットを振り抜くと同時に、右膝を地面に着いた。それでも山川の打球は、16号ソロとなり、北九州市民球場の柵を越えた。前打者秋山に続く連続アーチで、今季敵地で勝てていなかったソフトバンクに追撃の一打。初球、108キロのカーブに体を潜らせるようにしならせ、膝を突く姿はまるで卍(まんじ)の形のよう。「あれは自然。自然体です」と反応に身を任せた。

打席に立てば、得点圏でなければすべて本塁打を狙う。「どんな形でもホームランになればいい。全打席ホームラン、打ち損じがヒット」。普通は片膝を着くほどバランスを崩せば凡打になりやすい。だが「ああいう練習はしています。あれで、手だけじゃなくて足ごと運べれば理想ですけどね。カーブをああやって打てれば」。想定した上で繰り返しバットを振っていたからこそ飛ばせた。山川にしかできない打法だった。

その姿は海の向こう大リーグで名をはせた元レンジャーズ・ベルトレのよう。昨季限りで現役引退した通算3166安打、477本塁打。卍打法で数字を積み上げたスラッガーにも負けないパワーと技術が、山川にはある。日々の生活から本塁打を打つために過ごしている。「それしか狙ってないですからね。4年目くらいからかな。朝起きてから、練習でも考えるのはホームランのことのみ。『もっと他のことを考えろ!』という意見もあるかもしれませんけど」。ご飯を食べていても、目には動画で自身が本塁打を打つ姿を焼き付ける。

母の日弾による通算100号から連続本塁打で、2戦3発とペースは加速。本塁打、打点ともに独走を走ると同時にチームも2連勝。「チームが勝つためのホームラン。それを打つのが、僕の仕事ですから。今年はもっと打点も取りたいですね」。当然とばかりに右膝に付いた土を気にもとめていなかった。【栗田成芳】

◆MLBの膝付き本塁打 最も有名なのは、通算477本塁打を放ち昨季限りで引退した元レンジャーズのエイドリアン・ベルトレ。思いきり引っ張るあまり、上体が落ち右膝を付きながら何本もスタンドにたたき込んだ。最近では、カブスの主砲アンソニー・リゾが9日のマーリンズ戦で左膝を付きながら通算200号となる10号2ランを中越えに放った。