ゲームの潮目も王道を貫き通し、DeNA今永昇太投手(25)が「投手5冠」の座に君臨した。リーグトップタイの5勝目を挙げ、防御率は1・37。60奪三振、勝率8割、完封数(1)の5部門で1位に立った。

3点リードの6回。ヤクルトが誇る重量級に対して、直球中心の勝負を仕掛けた。4年目にして気づいた原点が凝縮されていた。

先頭山田哲に2ボールとした。打者有利の状況。それでも「今年一番、良かった。はじき返されていなかった」と外、内と直球を散らし、平行カウント。5球目に150キロ、7球目には、この日最速151キロとギアを上げた。9球中、7球に150キロ前後の直球を投じた。

四球としたが、かわす気は毛頭ない。バレンティン、雄平を直球で連続三振。村上に対しても、最後は直球で三邪飛に片付けた。「あそこは取りたいところで、三振を取れた」と流れを明け渡さなかった。

基本に忠実に-。4年目にして、その言葉をかみしめている。

今永 今はシンプルに考えることができている。ストレートでカウントを取って、変化球で誘い、そこからストレートか変化球なのかを考える。去年から木塚コーチから『王道の投球をしなさい。シンプルに、基本的なピッチングをやりなさい』と言われて。去年まではセットに入ってからも考えて投げている感じだった。今はマウンドで無駄な考えが減った。それがいい感じになっている。

「三振はあまり気にしていない。カード頭。7回以上は投げたかった」と言ったが、数字が今年のすごさを証明する。通りがかった筒香“記者”から「エースの風格が出てると思うのですが?」と問われ「まだまだです」と答えた。王道を極め、唯一無二の存在へと上りつめる。【栗田尚樹】