守備を鍛え直して逆襲だ! 矢野阪神が26日、甲子園で全体練習を再開した。目を引いたのはリーグ失策ワースト14個の大山、9個で同3位の木浪&北條の3人が、志願の30分特守を行ったことだ。

ここまで両リーグ最多の66失策を数えるが、3・5ゲーム差からの逆転Vへ守備の再強化は絶対条件。自覚が芽生えて自主的に動いた選手たちに、矢野監督も手応えをつかんだ再開初日となった。

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いつもの守備練習風景ではなかった。三塁手大山が遊撃でノックを受け、遊撃手木浪は三塁の守備位置から大きく前に出た位置でゴロをさばいた。普段と違う練習風景には、普段とは違う練習意識があった。約30分の志願特守。それぞれが明確な課題克服に取り組んだ。清水ヘッドは「これが本来あるべき姿だと思った。こういうことが続いていけば、たぶん(失策も)減ると思う」とうなずいた。

送球が課題の大山は、ステップを踏んでリズム良く投げることが必要な遊撃でノックを受けた。木浪はグラブのハンドリングなどを意識して、至近距離からゴロをさばいた。北條も自主的に遊撃でノックを受けた。リーグ失策でワースト5傑に入る3人が、自ら課題を見つけ、自ら練習メニューを考案。そんな姿に藤本内野守備走塁コーチが遊撃で実演指導するなど力を添え、3選手が目いっぱい、汗と土にまみれた。

3・5差で首位巨人を追うが、守備の強化なくして逆転優勝はない。両リーグ最多の66失策。重なった失策が失点に直結して、接戦を落とす試合も目立った。この日の練習前ミーティングでは、首脳陣から「同じミスをしないために、どうすればいいか」を自主的に考えるようにとの訓示もあった。そして大山、木浪、北條が即、実行に移した。

練習を見守った矢野監督も3人の姿勢を評価した。「(木浪)聖也にしても(大山)悠輔にしても、ここからどううまくなるかが大事。そういう風に自分たちでどう取り組むか」。29日の中日戦から再開するリーグ戦に向け、まずは球宴まで残り11試合のロケットダッシュを誓った。「俺は毎回スタート。自分がスタートって決めたらスタートになる。『(残り)70試合のシーズンいくぞ!』と思った方が俺は楽しい」。

ミスを減らせば勝機は増える。選手たちにも強い自覚が芽生えてきた。再開リーグ戦では、ひと味違う猛虎が見られそうだ。【奥田隼人】