7月中の1軍復帰が見えた! 2軍調整中の阪神藤浪晋太郎投手(25)が、実戦復帰5度目の登板で好投を見せた。29日のウエスタン・リーグ広島戦(マツダスタジアム)に先発し、4安打1失点8奪三振で8回完投。1四球と制球も安定した。リーグ戦を再開した矢野阪神は、中日に完敗で黒星発進。先発陣は盤石とは言えず、状況次第で7月中に藤浪が昇格する可能性が出てきた。

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1軍のマウンドがまた1歩近づいた。藤浪の投げる姿、すっきりした表情、そして言葉たちがそれを予感させた。

「全体的に調子も悪くなかった。101球という球数は、ファームで早打ちになってくるのであまり気にしていませんが、それ以上に内容が悪くなかったと思います」。

2回、先頭の坂倉に右中間二塁打を許すなどして、1死一、三塁のピンチを招いたが、失点は三ゴロの間の1点のみ。回を重ねるごとに腕も振れ、3回にはこの日最速154キロを記録。終盤になっても直球の威力は衰えず、外野へ飛んだのは2本の安打だけだった。5回2死で迎えた大盛は、この日唯一の118キロカーブで一直に仕留めた。「余裕があったので、1球挟んでみようかな」と最後まで主導権を握った。

与えた四球は2回、左打者の桑原に与えた1つのみ。走者を出しても制球は変わらず、安定した投球を見せた。平田勝男2軍監督(59)は「良くなかったとしても、これぐらいは投げられる。余裕も3回以降は出てきたかな。四球も1つでしょ。2回の四球は点をあげたくないという気持ちが強かったのかな」と評価した。

実戦復帰した5月18日の広島戦(由宇)から、1歩ずつ段階を踏みこれが5戦目。「イメージ通りのボールもある。いい感じのボールも。でもまだまだ完璧ではない。本来の、理想のピッチングではないです」。5戦計24イニングで4失点と結果を残しているが、1軍レベルを描く藤浪自身は投球内容にもろ手を挙げて喜ぶことはしない。「もうちょっとですね…。完璧を求めるわけじゃないですけど、1軍で投げていく上でもうちょっとこうできたらな、というのが正直ある」。

1軍の先発投手陣は苦しい時期が続く。ここ10試合で先発に白星がついたのは22日西武戦の岩田のみ。リーグ再開戦を託された青柳は2戦連続で5回持たずにKOされ、ガルシアも前回の23日西武戦で6回途中7失点と盤石ではない。藤浪の次回登板は7月6日の2軍ヤクルト戦(戸田)になる見込みだが、チームの状況次第では7月中の昇格も見えてくる。【磯綾乃】

▽阪神福原投手コーチ(藤浪について)「結果だけなら前回も良かったので、今回もそういうピッチングが出来たことはいいこと。内容を見ていないので何とも言えない」

<藤浪の今季2軍戦過去の登板>

◆5月18日広島戦 約2カ月ぶりの実戦で、1回を3者凡退に抑えた。左打者3人を9球で無安打に。「しっかり投げられて良かったかなと思います」。

◆同30日オリックス戦 矢野監督が視察する中、3回無安打無失点。カットボールとフォークボールで空振り三振2個。「バランスも感覚も良かった」。

◆6月11日オリックス戦 今季最速の157キロで4者連続を含む8奪三振をマークし、5回を1安打無失点、無四球。「全体的にバランス良く投げられた」。

◆同18日広島戦 7回を10安打3失点。復帰後最長イニングで打たせて取る投球を実践してみせ、「フォークを交ぜたりボール球を使い、コースを広く使っていった」。