<楽天2-2ロッテ>◇29日◇楽天生命パーク

楽天渡辺佳明内野手にとってロッテ涌井秀章投手との“初対戦”は、野球を始めて間もない頃にまでさかのぼる。自宅でもある横浜高の野球部寮で当時プロ注目の大エースと対峙(たいじ)。優しく投げてくれる山なり軌道のゴムボールを、プラスチックのバットで打ち返したのが原点だ。10歳離れた横浜高の大先輩であり、祖父・渡辺元智の教え子、一番しっくり来るのは「遊んでくれる近所のお兄ちゃんみたいな感じ」。屈託なく笑う。

1軍初昇格した5月19日のロッテ戦で「対戦できたらいいですね」とかわした言葉が現実になった。2回の第1打席はタイミングを合わせたと思った直球に押し込まれてファウルでカウントを稼がれ、見逃し三振。4回の第2打席も最後はチェンジアップで空振り三振。「1打席目はボールと思って見逃したけど、映像を見返すとコースいっぱい。2打席目の変化球は、直球に見えたボールが低めいっぱいから落ちた。少しは成長した姿を見せたかったんですけど、手も足も出ませんでした。偉大でした」と声を上げて悔しがった。

試合後、2打席13球のうち12球が直球という偏った勝負に涌井が込めた意図を伝え聞いた。「昔は打たせてくれましたけど、今日は打てませんでした。いい経験にして、次はしっかり打ちたい」。同じプロの土俵に上がったことを実感。本気の涌井を打つ目標ができた。【亀山泰宏】