勝負の分かれ目を勝ち抜いた。ヤクルト青木宣親外野手(37)が同点の5回に20試合ぶりとなる勝ち越し11号3ラン。巨人先発メルセデスから4回まで6安打を放ちながらも1得点と封じ込まれたが、ここぞの1発で連敗を2で止めた。

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絶え間なく注ぐ歓声に応えた。同点の5回無死一、二塁。青木の1発が流れを決めた。巨人大江の114キロスライダーを振り抜き、右翼席へと放り込んだ。「勝負どころで流れを持ってくるプレーをしようと思っていた」と20試合ぶりの勝ち越し3ランで、首位独走の巨人の勢いを止めた。

攻撃の始まりに心戸惑った。1回1死、ネクストバッターサークルで耳なじんだ曲が流れた。前を打つ2番山崎が打席に向かう途中に流れたのは、青木の登場曲「HOWEVER」だった。まさかの選曲ミスに「違う違う」とジェスチャー。「そのままネクストから打席に行こうと思ったよ(笑い)」と笑わせたが、流れが変わった。登場曲を間違えられた山崎が左前打で出塁すると青木も右前打。好機を広げてバレンティンの先制打につなげた。

暗闇を駆け抜ける勇気をチームが持っていた。初回無死一塁の守備で右翼手山崎が坂本勇の打球を好捕。戻りきれなかった一塁走者を併殺に仕留めた。「いつもなら抜けて、二、三塁で点が入るパターン。山崎のファインプレーも大きかった」とうなずいた。負けが込んだ時期にも「勝負の分かれ道を、どんどん自分たちの方に持ってくる」と流れを変えるプレーを重視し続けたベテラン。やわらかな風が吹く神宮で勝利をもたらした。【島根純】