1軍の舞台で壁を越えろ-。日本ハム栗山英樹監督(58)が18日、28打席連続無安打と苦しむ清宮幸太郎内野手(20)について言及した。

清宮が兼ね備える類い希な長打力は、4ゲーム差で追う首位ソフトバンクを逆転して優勝するために不可欠な能力であることは間違いない。長期的な視野にも立って、清宮覚醒へ手を尽くす。

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首位ソフトバンクに3連勝を決めた一夜明け、栗山監督は清宮について口を開いた。「新聞で数字を見たら、けっこう打っていないね。手は打っているつもり。コーチの人たちも、いろいろやってくれている」。2軍で試合に出て、復調を待つ考えがあるかも問われた。「もちろん。ずいぶん前から選択肢の1つ。でも、オレはオレで思っていることがあって、そこに進むよ」と1軍に同行させ続けるとした。

清宮が1軍で壁を乗り越えれば、逆転優勝への気勢も上がるはず。「チームが勝ちきるために、何がこのチームに足りていないのか。やっぱり必要なものは、必要なんだよ。今だけ勝ちやすい形も大事なんだけど、準備もしておかないと」。その準備の1つが長打の増加だろう。チーム長打率3割8分、60本塁打ともにリーグ5位で、そこを埋められる筆頭は清宮の覚醒。投手陣は安定感が出てきた。投打でスキがなくなれば、3年ぶりの覇権奪回も近づく。

世界最多本塁打を放った王貞治氏(ソフトバンク球団会長)の例も挙げた。高卒1年目はデビューから26打席連続無安打。1年目7本、2年目17本、3年目13本と苦しみながら868本まで積み上げた。「王さんが入団して、あれだけ打てない中でもずっと試合に出ていた。世界の王さんが、ああいう経験をしたということも事実。それを真似するワケじゃないけど、経験しないと分からないことがあるのも事実。技術的に足りていないという選手ではない」。

清宮はチームを、そして日本球界を背負える逸材だ。栗山監督が清宮に1軍で現状打破を求める理由は、数年先も見据え、チームを前に進める推進力になれるから。じっと、その時を待っている。【木下大輔】