広島サビエル・バティスタ外野手(27)が、1カ月半ぶりの連勝をもたらした。3番一塁で先発し、同点2ラン&勝ち越しV2ランで、チームの全4打点を荒稼ぎ。2年連続20発に到達し、本来のポイントゲッターぶりを見せつけた。自力優勝消滅の危機も、2夜連続で回避。首位巨人とのゲーム差を10に縮め、中日と並ぶ3位に浮上した。

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切れるな、入ってくれ! バティスタの祈りを込めた視線の先、大飛球が右翼ポールを直撃した。同点の8回に飛び出した決勝2ラン。6回の同点2ランに続く2打席連発で、全4打点をたたき出した。「チームに貢献したかった。打たないといけなかった」と振り返った。

巨人3番手デラロサに、鮮やかにリベンジした。前夜の同カード、7回の同点機で見逃し三振に仕留められた相手。「今日もリリーフしてくると思っていた。迷惑かけていたので、打たないといけなかった。真っすぐだけ狙った」。積極的にいこうと決めていた。157キロの外角球に必死にバットを合わせ、大飛球を打ち上げた。

追い込まれていた。前日までの2試合で6三振を喫し、8打席無安打。この日も1、2打席目は先発今村に完璧に抑えられた。救援明けから3番に固定されているが、打たなければ下げられる。迎打撃コーチの「ストライクはしっかり振りにいこう」という助言を、何度も反すうした。剛速球に負けるわけにいかなかった。

絶対に打ちたい理由があった。初来日した父ホセさんが、ネット裏で観戦していた。子どものころ野球を教えてくれたホセさんがいなければ、カープアカデミーに入ることも、来日することもなかった。「父のために打ちたかった」。もう1人、ホームランを贈りたかったのが、28日にドミニカ共和国に帰国するフェリシアーノ通訳。「帰る前に打ててよかった」とかみしめた。

自力優勝消滅の危機を、2夜連続で回避した。緒方監督は「ファンに喜んでもらえるような試合ができて、本当にうれしい。バティスタが2本のホームランで…。ナイスバッティング」と絶賛した。連勝は、5月28日~6月1日の5連勝以来、1カ月半ぶり。崖っぷちの広島が、少しずつ本来の力を取り戻している。【村野森】