“真夏の珍事”で大逆転だ。日本ハムは1-3の7回1死二塁、打席には6番石井。楽天則本昂の初球、カットボールをきれいに捉えた。

「ライト(の頭)は越えると思いました」。異変に気付いたのは、勢い良く二塁を蹴った後だった。打球が戻って来る気配が、まったくないのだ。「ボール、どこ?って…。何が起きているか分からなくて、三塁まで走っちゃいました」。頭の上に「?」マークが浮かんだのは、客席も同じだった。

白球の行方は…右中間フェンスのラバーの隙間に“ジャストフィット”。エンタイトルツーベースとなり、三塁から二塁へ戻った石井は「みんなには『ナイス・イン』って言われました。ホールインワンみたいな感じですけど、どうせならゴルフで出したかったですね」。初体験の珍事に苦笑いした。

百戦錬磨の栗山監督ですら「面白いね。あんなこと、あるの?」とびっくり。この一打で1点を返し、続く7番宇佐見の左前適時打で同点。難敵の則本昂をマウンドから引きずり降ろし、代打谷口の二塁打で一気に勝ち越した。これで、首位ソフトバンクに再び0・5差。7月は16勝6敗、勝率7割2分7厘と圧倒的な数字を残し、8月に突入する。【中島宙恵】

◆打球が外野フェンスに挟まった場合 野球規則5・05aの(7)に「フェアボールがフェンス、スコアボード、灌木およびフェンスのつる草に挟まって止まった場合には、打者、走者ともに2個の進塁権が与えられる」とある。