阪神藤浪晋太郎投手(25)が今季初登板初先発で初勝利を逃した。8四死球と課題の制球難を克服できず、5回途中1失点で降板。同い年の北條史也内野手(25)の同点3号で黒星は免れたが、甲子園95周年の節目の日に、2年ぶりの本拠地勝利はならず、試合後、2軍降格が決まった。チームは逆転勝ちで、自力優勝の可能性が復活した。

藤浪は悔しさをにじませた。「ボール自体は(指に)かかったボールもあったんですけど、ちょっと制御しきれないというか。もっと自分の持っているいい感覚を出せたらというのが、正直なところです」。

甲子園にため息が漏れた。2回、先頭の京田に四球を与え、打席は木下拓。初球146キロ直球が内角高めに抜け、左肘上部を直撃した。4回1死一塁ではスライダーが高めに抜け、再び木下拓の左肘へ。スタンドはどよめきに包まれた。

課題の制球難に苦しんだ。初回、先頭の平田にフルカウントから四球。2死を奪うもビシエド、阿部を続けざまに歩かせ、2死満塁のピンチを招いた。「藤浪、がんばれー!」の声を背に受け堂上を空振り三振に仕留めたが、この回だけで36球を要した。

5回途中で降板するまで、8四死球を与えながらも1失点。勝負どころで打ち取る粘り強さは見せた。最速も155キロをマーク。しかし安定感を欠き、2軍戦8試合では防御率1・88、四死球も計43イニングで14個に抑えていながら、再び課題が露呈した。当初の予定通り、今日2日に出場選手登録を抹消され、出直しを図る。矢野監督は「次のチャンスはもちろん晋太郎自身がつかむもの。僕らもまた投げる姿を見たい。前進していると思う。その前進している部分と、自分で勝たせる投球をするための準備をして」と言った。

この日は甲子園球場が誕生して95周年。節目の日に、藤浪は完全復活とはならなかった。「試合前のキャッチボールの時から大きな声援をいただいて、マウンドに上がる時も今まで浴びたこともないような声援でもり立てていただいたのに、そのファンの方々の期待に応えることができず、悔しい投球となりました。次回こそは、その声援に応えられるように頑張ります」。完全復活を示せなかった悔しさを胸に、再び1軍のマウンドを目指す。【磯綾乃】

▼阪神藤浪が5回途中1失点で降板。6四球、2死球の計8四死球だった。藤浪の1試合7四死球以上は過去6度あり、最多は15年9月3日の広島戦(7回で9四球)と、17年4月4日のヤクルト戦(5回で8四球、1死球)の「9」。今回はそれに次ぐ多さとなった。

<19年阪神藤浪のこれまで>

▼初の紅白戦登板 沖縄・宜野座キャンプで2月11日に初の紅白戦登板。2イニングで2安打1失点。

▼投げ込み 2月19日にプロ入り最多の291球の投げ込み。同21日にも258球を投げるなどフォームをめぐって試行錯誤。

▼初のオープン戦登板 2月24日、中日とのオープン戦に初登板。4回4安打3失点。6四死球だった。

▼全員左打者との対戦 3月2日のソフトバンクとのオープン戦は7打者と対決したが、全員が左打者との対戦となった。2イニングを2安打無失点。腕を下げたスリークオーターを披露。走者がいない場面ではノーワインドアップだった。

▼2軍調整決定 3月12日の中日とのオープン戦で4回無安打1失点だったが、3四球1死球。試合後、矢野監督は2軍調整を明言。

▼2軍戦登板 5月18日広島戦(由宇)で実戦復帰してから8試合に先発し、計43イニングに登板。防御率1・88と安定した数字を残した。