DeNAの4番、筒香嘉智外野手(27)が巨人のエース菅野を打ち砕いた。2点を追う4回。6戦ぶりの19号ソロで反撃ののろしを上げ、チームの逆転勝利につなげた。これで首位巨人とはゲーム差2・5。得点圏打率の低さからクリーンアップではなく2番を任されていた主砲が復活し、一気に巨人相手に3タテを狙う。

   ◇    ◇    ◇

主砲の力を存分に見せつけた。前カードの7月30日ヤクルト戦から、4番に戻った筒香が魅せた。2点を追う4回2死走者なし。カウント1-2から菅野の137キロ外角低めフォークを左翼スタンドぎりぎりに運んだ。「いろんなボールに対応できるようにと。強引になることなく、うまく反応して打つことができました」。ここ4試合無安打が続いていたが、技術で打った6戦ぶり19号。4番としては7月6日の巨人戦以来、約1カ月ぶりとなる一撃だった。

今季は出塁率こそ4割をマークするが、得点圏打率は2割5分程度。好機で結果がでなかった。データを重視するラミレス監督は球宴明け15日の広島戦から本来の4番ではなく2番に座らせ、チャンスメークの役割を任せてきた。

筒香自身もまた、打撃に迷いが出た時期があった。なかなかテークバックでトップの位置が決まらず、思わず自分のiPhoneに「ヘイSiri、バットのトップの位置はどこだっけ?」とたずねた。すると「すみません、よく分かりません」とトホホな答えが返ってきたが、それほど試行錯誤を繰り返していた。そんな紆余(うよ)曲折も乗り越え、ようやく4番として求められる答えを出した。

ラミレス監督は「点数的にはソロアーチの1点だが、あの1点でいけるという雰囲気になった。菅野が8~9回は余裕で投げられそうないい投球をしていたが、あのホームランが流れをこちらに持ってきた」と絶賛。主砲の本塁打が反撃の呼び水となり、1点を追う6回1死一、二塁でソトが同点適時二塁打。さらに満塁からロペスが中堅右へ勝ち越しの2点適時二塁打を放って勝利を引き寄せた。

これで首位巨人とゲーム差2・5に迫った。それでも筒香は「まだまだあと8月、9月、10月とあるので。今は順位どうこうじゃなく、目の前の勝てる試合を確実に取れたらいいかなと思います」と浮かれない。ただただ、4番の仕事をまっとうする。【千葉修宏】