4月にプロ初勝利を挙げた思い出の地で、奪三振ショーを繰り広げた。ロッテ種市篤暉投手(20)は6回1死一塁、楽天渡辺佳から外角低めのフォークでこの日10個目の三振を奪っても顔色一つ変えなかった。「三振は狙ってないですけど、2ストライクから変化球が低めにきまっていたのがよかったと思います」。この回先頭の辰己からも三振を奪っており、これで6月13日から23イニング連続奪三振。江夏豊(阪神)や木田勇(日本ハム)の持つ日本人最長記録に肩を並べた。

直球の勢いとともに波に乗った。自己最多の129球を投げ7回を3安打無失点、10奪三振の快投だ。1巡目は直球中心でカウントを整え、最後はコースいっぱいへの変化球。初回から2回にかけて5者連続三振を奪った。「打ちとれていたのでよかったと思う」。1巡目に投げた46球中33球、7割超が直球だった。

10連戦中のチームは前日3日、延長12回5時間9分のロングゲームで8人の投手を投入した。「昨日の延長戦で(多くの投手が)投げていたのでできるだけ多く投げたいと思っていた」。6回111球を投じていたが、志願して7回のマウンドへ。暑さ対策として7度もアンダーシャツを着替えながら三振の山を築いた。

日々の成長が著しい。昨季まで未勝利。開幕は中継ぎで迎えたが、すでにチームトップタイの6勝を挙げる。井口監督は「彼らしい攻めたピッチングだった。チームで一番の投手でもあるのでこれからも負けないように」と若き勝ち頭にさらなる期待を込めた。【久永壮真】

▽ロッテ吉井投手コーチ(種市について)「どの球もよかった。バッテリーで考えながらやってくれた。今日は長く投げることがミッションだった」

◆種市篤暉(たねいち・あつき)1998年(平10)9月7日生まれ、青森県三沢市出身。八戸工大一から16年ドラフト6位でロッテ入団。2年目の18年、8月12日オリックス戦でプロ初登板初先発。今年4月29日楽天戦で初勝利。今季推定年俸680万円。183センチ、83キロ。右投げ右打ち。