楽天茂木栄五郎内野手(25)が、ひと振りで試合を決定づけた。

勝ち越しに成功した6回2死満塁から、オリックス山田の抜けてきたスライダーをフルスイング。11号グランドスラムに「甘く入ってきたボールに体が反応した。追加点が欲しい場面で最高の結果。驚いてます」と笑った。

満塁弾は、17本塁打をマークしてブレークした17年以来2本目。強打のリードオフマンとして引っ張る立場は同じでも、自覚が変わった。「自分の成績がチームの勝利に直結するという思考は変わらない。ただ、どうすればもっと勝てるのか、すごく考えるようになった。やっぱり、ソフトバンクとかと差を感じる部分もある。差をどうやって埋めていけるのか、ですよね」と語る。アマチュア時代を振り返っても、リーダーを補佐する役目が性に合っていると認める気質。殻を破ろうともがいている。

シーズンを前に1つのルールを課した。「僕は1年間試合に出続けたことがない。だから今年は出続ける」。今季の欠場は1試合。ナイターが終われば、日付が変わる直前までケアを施すことも珍しくない。「体が、マジで思うように動かない」。思わず口をついて出た言葉を上書きするように「でも、それ(試合を休まない)だけは貫くと決めているので」と言った。

故障で苦しんだ影響を考慮されてのキャンプ2軍スタート時、三木2軍監督から「もっと肩の力を抜くように」と助言され、完璧主義者だった自分と決別。下を向かず、チームの先頭に立ち続ける男が3位タイ浮上に導いた。【亀山泰宏】