阪神がまた初勝利をプレゼントした。中日の先発ルーキー梅津に対して6回4安打1得点。初回に1点先制したが、その後は最後まで二塁ベースを踏めず逆転負けした。7月にも同じく中日の2年目山本にプロ初勝利を許し、今季はこれで5人目という球界最多のサービスぶりだ。広島に2戦連続逆転勝ちした直前の執念はどこへやら。5位中日に2ゲーム差に迫られた。

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阪神打線はお人よしすぎる。中日はルーキー梅津の初登板初先発。先輩風を吹かせるはずが、軽々とねじ伏せられてしまった。新人右腕に6回で1得点。わずか2時間30分で、あっけなく敗れた。今季5度目のプロ初勝利献上。矢野監督も「ウチはそう言われるようなことも多い。他のチームがどういうことかは分からないけど。そういうことはなくしていくようにしていきます」と嘆くしかない。

幸先よく1回に先制点を奪ったが直後に逆転されると2回以降は梅津の独壇場だった。ばらついていた制球が定まり、自慢の速球も走りだす。2回から4者連続三振…。尻上がりに調子を上げ、速球は150キロを超え始める。3点を追う6回は1番近本からの攻撃。だが、内角低め速球で見逃し三振に倒れ、糸原も力負けの遊飛。福留は151キロ速球にどん詰まりの左飛。完全に引き立て役だった。

球威ある速球は低めや四隅を突く。指揮官が「逆転されて、コーナーもしっかり真っすぐを投げられていたし、力もある。2、3回くらいからいい球が来ている感じには見えた」と言えば、浜中打撃コーチも「情報通り、真っすぐが強くて押されて力負けした。そのひと言。真っすぐを打てなかった。今日はその反省しかない」と脱帽。2軍戦で3試合戦ったデータは生かされず、またも、速球への弱さを露呈してしまった。

7月31日にも中日の山本にプロ初星をマークされていた。巨人高橋、DeNA大貫、中日清水…。またも「初ものアレルギー」を発症させ、ナゴヤドームでは昨年に続いて5連敗。またも「鬼門」のジンクスがちらつく。広島に2戦連続で逆転勝利を収め、勢いをつけるはずが、眼下の5位中日が2ゲーム差に迫る窮状だ。

指揮官は「難しい投手から点を取っていかないとあかん。ルーキーの初登板でしょ? そういう投手を崩せないから難しいっていうわけにはいかない」と危機感をにじませた。8月中旬に入っても、一進一退の戦いが続き、上位浮上のキッカケをなかなか見いだせない。【酒井俊作】

▽阪神清水ヘッドコーチ(梅津攻略に失敗)「そういう(初ものに弱い)データが出ているみたいやな。本当に初めてだった。材料もないので、あのストレートをどうやって打つか。今度はやられないように攻略します」

▽阪神福原投手コーチ(ガルシアについて)「ゴロを打たせることはできていたと思う。(紙一重な部分も)あると思う。(来週以降も投げさせるかと聞かれ)まあ、そうですね。はい」

▼阪神は今季、プロ初勝利を計5投手に献上。これは12球団で最多だ。この5投手に対しチーム打率は2割1分。今季通算の2割5分を、大きく下回っている。