エースだから-。巨人菅野智之投手(29)が3年連続6度目の2ケタ勝利を挙げた。

腰の違和感から復帰後、最多となる123球で7回を投げ抜いた。今季、勝利をマークした試合ではワーストタイの被安打8も要所で踏ん張り、1失点でしのいだ。チームを今季2度目の6連勝に導き、首位独走を加速。菅野だからじゃない。エースだからの使命をマウンドで誇示した。22日にも優勝へのマジックが点灯する。

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菅野がアウトのコールを待たずに、拳を握ってほえた。1点リードの5回2死一、二塁。中日ビシエドをカットボールで遊飛に抑えると、グラブを何度もたたいて、感情をあらわにした。直球、フォーク、スライダーを絡め、最後は得意球で仕留めた。「バッテリーで攻めていけた。しつこく攻めていけました」と勝負の潮目で力を発揮した。

置かれている立場、役割を理解し、言動で示した。腰の違和感でファーム調整をしていた5月中旬。高卒新人の育成沼田からカーブの投げ方を問われた。意を決して質問してきた11歳年下の後輩と真っ正面から向き合った。「持ち味は何? まずは得意なボールのフォームから固めよう」と直球を売りにする後輩へ助言した。離脱中も投手陣の模範となるエースとして振る舞った。

だから圧倒せずとも転ぶわけにはいかない。5回まで毎回安打を許し、7回のうち5度、得点圏に走者を背負った。3回1死二塁、京田の打球が足元を襲い、マウンドに尻をついた。だが、当たり前のように立ち上がり、続く福田を遊ゴロ、ビシエドを三振に仕留め、連打を許さず。適時打なしの123球、被安打8の投球を「粘り強く投げられました」と振り返った。

節目の2ケタ10勝目に「支えてくれているみなさんに感謝したい」と頭を下げた。自身の連勝で優勝マジック点灯へとつないだが「油断しちゃいけない。1戦1戦、頑張ります」と引き締めた。球団では堀内、江川、桑田に続く7年目で6度の2ケタ勝利。菅野だから、大きな驚きはない。【桑原幹久】

巨人原監督(菅野の10勝に)「ヒット数は打たれはしましたけど、要所をしっかり締めたというところでしょう。毎年安定している素晴らしい投手ですよね」

▼菅野が7回1失点で、3年連続の10勝目。2桁勝利はプロ7年間で通算6度目となった。同じ13年入団の則本昂(楽天)が1年目から6年連続で2桁勝利を記録しているが、巨人でプロ7年間で2桁勝利を6度以上は86年入団の桑田以来で、ドラフト制後ではチーム4人目。

▼巨人は早ければ22日にも優勝へのマジックナンバー(M)が点灯する。点灯条件は巨人が中日戦に○、DeNAが阪神戦に●のみ。広島がヤクルト戦に●でM21、○または△でM22が出る。