スマートに、そのクラブの扉を開いた。ヤクルト山田哲人内野手(27)がNPB史上初の通算4度目の30本塁打&30盗塁、通称「30-30クラブ」を達成した。

最初は気のない振りを続けた。4回無死、相手失策で出塁。続くバレンティンの打席でアンツーカー付近までリードを取るが、走る素振りは見せない。カウント2-2からの5球目、スルッとスタートを切った。1歩、2歩、3歩。細かいストライドで加速すると、一気に二塁に到達。継続中の連続盗塁成功日本記録を35に伸ばし、シーズン30個目の盗塁を決めた。助っ人は空振り三振に倒れたが、得点圏に進み、続く雄平の中前打で生還。貴重な先制のホームを踏んだ。

勝つための道筋を探している。前夜、延長12回に29個目の盗塁を決めた際も「どんな状況でもいくと決めていた。二塁に行けば、ワンヒットでかえる可能性が高くなる」と説明。自らが得点圏に進むことで勝利への可能性が高まると強調していた。この日の6回にも2個目の二盗を決めて日本記録の連続成功は36。その後2点目に結びつけた。

国内では西武などで活躍した秋山幸二の通算3度を抜いて、初の4度目の「30-30クラブ」入り。山田哲が走れば記録が生まれ、何かが起こる。【島根純】