国際武道大が千葉県大学野球秋季リーグ戦の初戦を白星で飾った。

今秋、ドラフト候補の勝俣勝貴内野手(4年=東海大菅生)は、3打数2安打4打点の活躍で勝利に貢献。「走者がいる状態で打ててよかった」と安心した表情を見せた。

視察に訪れた6球団のスカウトの前で、完全復活の姿を見せつけた。春季リーグ戦、4月29日の中央学院戦1戦目、第2打席でファウルを打った瞬間「ブチッ」と音がした。「手が熱くなってどんどん痛くなっていった。でも試合中。交代ははしたくない。我慢して出続けました」。痛みを隠し試合に出続け、本塁打を含む2安打を放ち、リーグ通算100安打も達成した。試合後、診断の結果は右手有鉤(ゆうこう)骨の骨折。6月に手術を受け、練習に復帰したのは7月。「インコースに、バットのヘッドを返す感覚が取り戻すのが難しかったです」。この夏、誰よりもバットを振り、完全復帰を果たした。

4年前の悔しさが、勝俣を支えた。東海大菅生では1年夏からベンチ入り。3年春のセンバツではエースで4番として出場し、ドラフト候補と期待されたが、指名されることはなかった。「4年後のドラフトを目指す」と悔しさを胸に大学に進学。常にプロ野球を意識。「レベルアップしないと指名はない」と自身を奮い立たせ野球と向き合ってきた。「プロの動画を見て、同じスイングで引っ張りも流しもできる」と大学2年で打撃を修正。「それまでは引っ張るスイングと流すときのスイングと分けていたんです。でも、それからは同じスイングでポイントだけ変えて強く遠くに飛ばすことを意識しました」。飛距離も伸び逆方向への打球も増えた。プロ志望届けも出すと決めている。後は岩井美樹監督(64)と提出日の相談だけ。満を持して、ドラフトの日を待つ。

高校時代は「クレヨンしんちゃん」の主人公、野原しんのすけに似ていると評判だったが、4年間で体重は約6キロ増え、精悍(せいかん)な顔つきになった。最近では洋画鑑賞が趣味でコミックヒーローが世界滅亡の危機を救う実写版「アベンジャーズ」がお気に入り。「ここというところで打てる打者になりたい」。チームを救うヒーローに輝く日が、来るかもしれない。