今季限りでの退団を表明している阪神鳥谷敬内野手(38)が現役続行を目指す意思を固めたことが17日、分かった。8月29日に球団から事実上の戦力外通告といえる“引退勧告”を受け、現役引退か他球団での現役続行を目指すのかの二択で熟考を続けていた。今後はまず逆転CS進出に向けて全力を注ぎ、全日程終了後に他球団移籍の道を模索することになる。

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鳥谷が重い決断を下した。16年間の縦じま生活を終えて現役生活に幕を下ろすのか。それとも他球団での現役続行を目指すのか。球団関係者の話を総合すれば、虎のレジェンドは3週間近く悩み抜いた末、グラウンドに立ち続ける道を模索する意思を固めた。

8月29日、球団から事実上の戦力外通告といえる“引退勧告”を受けた。同31日には今季限りでの退団を自ら表明した上で「今後自分が選択していくのは、引退するのか、戦力外を受け入れて他球団でやるのか、ということになります」と説明し、熟考に入っていた。ただ、谷本球団副社長兼球団本部長が「あの時点(8月29日)では現役へのこだわりが強かった」と明かしていた通り、当初から現役続行に懸ける情熱に衰えはなかった。苦悩の期間を経ても感情に変化がなかったことから、決断を下したとみられる。

鳥谷の存在感はこの1週間で増している。10日ヤクルト戦から16日巨人戦までの7連戦で6試合に代打登場。この間、4打数2安打2四球3打点と結果を出した。11日ヤクルト戦では左翼線適時二塁打で今季初打点をマーク。15日巨人戦では球界のエース菅野から同点打を決めた。敵味方関係ない大歓声と拍手への感謝を打席で体現。スピード感あふれる走塁でも観客を沸かせている。

今季限りでの退団を表明した際には「CSに出れば優勝というチャンスも出てくる。そこを1番に考えて。自分自身がどうというよりは、しっかりチームに貢献できることを常に考えてやっていきます」と言葉に力を込めていた。まずは逆転CS進出に向けて、レギュラーシーズンの残り8試合に集中する。虎の背番号1として悔いなき戦いを終えた後、新たな挑戦に身を投じる。