広島緒方孝市監督(50)が1日、マツダスタジアムで会見し、今季限りでの退任を発表した。

就任5年目でリーグ4連覇を目指しながら4位に終わり、成績不振の責任を取った形。健康上の不安もあり、ユニホームを脱ぐことになった。今後は未定。後任監督は球団OBから選ばれる見込みで、佐々岡真司投手コーチ(52)らが候補に挙がるとみられる。広島が転換期を迎えた。

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緒方監督は、すっきりした顔で会見場に現れた。質疑応答を行わないスピーチスタイルで、退任を報告した。4位に終わった今季について「監督としての責任なので、申し訳ない気持ちでいっぱい」とざんげ。「自分の中では目いっぱい、全力で最後までやり切ったなと。そういう思いでいます」と話した。完全に、燃え尽きていた。

4連覇へ向け「1年勝負の中でやっていく」と悲壮な決意で臨んだ。昨年も、3連覇できなければ辞めるつもりだった。広島では5年が1つの区切り。覚悟を決め逆風に立ち向かった。5月に父義雄さんが死去。7月には選手に対する自らの行きすぎた指導が明るみに出た。8月には復活を信じた田中広が2軍落ちして右膝を手術。バティスタはドーピング違反で離脱した。5月に球団新の月間20勝を挙げた一方、7月は20年ぶりの11連敗など成績は乱高下し、優勝が遠のいた9月初旬、球団側に辞意を伝えた。慰留されたが腹は決まっていた。

体はボロボロだった。シーズン終盤はせきが止まらず、病院で点滴を打ちながら試合に臨んだ。それでも、早朝からの映像分析は愚直に続けた。「堂々巡りの中でふと、ひらめくことがある」。その一瞬のため、何時間も、何日も考え続けた。たばこの量が増え、体は悲鳴を上げていた。今後は未定で「先のことは考えていないし、決めていない」と話した。

緒方監督の勇退により、広島は新体制づくりを急ぐ。次期監督は球団OBから選ばれ、佐々岡投手コーチらが候補に挙がる見込み。松田オーナーは、9日に秋季練習が始まることを踏まえ「それまでに決めたい」と話した。急ピッチで進められる後任監督選びを経て、広島が新たな時代を迎える。【村野森】