戦闘態勢が整った。腰痛からの復帰を目指す巨人菅野智之投手(30)が15日、1カ月ぶりの実戦マウンドに立った。

みやざきフェニックスリーグの韓国・斗山戦に先発し、6回79球4安打1失点。最速は146キロを計測し、復帰登板への手応えを強調した。試合後に宮本投手総合コーチと電話で話し、「行けます」と宣言。17日から1軍の練習に合流し、ソフトバンクとの日本シリーズで復帰する。

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人もまばらなスタンドに、腹の底から漏れた声が響いた。5回2死。菅野が「ウッ!」と発しながら右腕をしならせた。右打者の外角いっぱいへの144キロ直球で見逃し三振。針穴を通し終えベンチへ歩いた。「真っすぐも変化球も自分が思っているところに投げられた。あとは監督、コーチの判断。もし『行け』と言われたら、いける状態にはなった」。充実感と安堵(あんど)感が入り交った。

試行錯誤を重ねた。「腰の痛みだったりそういうところはある」と現状でベストを尽くすため、ジャイアンツ球場でコーチ、トレーナーらとフォーム修正を行った。この日は4回以降、重心を落とすことを意識。プレートも6月ごろに導入していた真ん中からやや一塁側を踏んだ。「調整する最後の機会なのでいろいろ試した」と出力を最大限にする方法を模索した。

4日のシート打撃では最速143キロだったが、この日は最速146キロを5度計測し、速球の平均球速は143・2キロ。修正の成果に「スピードを念頭に置いたが、もうちょっと時間があるのでそこに関しては問題ない」と手応えを強調した。

試合後、宮本投手総合コーチと電話で話し「行けます」と宣言。同コーチも「声がいつもより甲高くて、すがすがしかったね。日本シリーズ、必ず1回は勝負させたい」と背中を押した。シリーズまで残りはわずかだが、エースはさらなる上積みを断言した。「いろんな面で、乗り越えられた感はある。現時点の段階で、もうこれ以上悪くなることは絶対ないと思っている」。CS突破の場には立ち会えなかった。だからこそ、日本一をかけたマウンドだけは譲れない。【桑原幹久】