“敵地”で堂々の宣戦布告? 阪神で今秋、来春とキャンプ臨時コーチを務める山本昌氏(54)が24日、名古屋市内のホテルで行われた古巣中日のOB会に出席。投手陣は阪神の方が「上」と断言した。

現役は中日一筋32年。参加136人のほぼ全員が顔見知りだ。引退後4年経過したが中日以外で関わったのは阪神が初。そんなホーム? アウェー? の雰囲気の会場で、来季注目されそうな直接対決のポイントを即答した。「やっぱり投手。投手が頑張ってくれたらね。阪神の方がいいんじゃないかと思うけど、どっちの球場も投手が有利。投手が頑張らないと」と、自信をちらつかせた。

中日戦は今季10勝14敗1分けで2年連続負け越し中。リベンジへ、自らの手腕もカギになる。今秋の安芸キャンプでは藤浪や高橋らに密着。藤浪は紅白戦ですっぽ抜けがなくなったことを評価し、高橋は伝授したカーブやチェンジアップに手応えをつかんだ。“続投”が決まった来春は第2段階。「秋よりは実戦に即したものになる。勉強していかないと」と描いた。

阪神の1軍打撃コーチに就任した井上一樹氏(47)もOB会に参加して強気発言。「ユニホームを着ている以上、持っているものは(阪神に)伝える。阪神が中日に勝てないというわけにはいかない」。阪神コーチ就任で中日のOB会理事も外れ、すっかりタテジマの一員。矢野監督も中日OBだ。

山本氏はOB会で激励を受ける一方で「あんまり頑張るなよ」と諸先輩から“けん制”も受けたという。投打に山本昌&井上コンビでパワーアップした矢野阪神が、来季は中日にキバをむく。【柏原誠】

○…中日で史上初の50歳登板を果たした山本氏は、若手だけでなく阪神のベテラン陣にも好影響がありそうだ。来春は1、2軍巡回で指導予定。「長くやるコツというか、雑談で話す中でね。能見くんとか藤川くんとか(1軍キャンプに)参加してくるので、ちょっとしたそういう話になれば」と惜しみなく「長寿の秘訣(ひけつ)」を授ける。

○…来春キャンプでは2軍選手にも「マサ講座」が行われる。今秋キャンプ初日の宿舎でナインや首脳陣、フロントに行った講義が好評で、球団から同じ話を新人にもしてほしいという依頼があったという。「ドラフト1位が高卒の投手(西)だし、3位にもビッグ4といわれた投手(及川)がいるので。見せてもらおうと思っています」と実際の投球も楽しみにしていた。

◆山本昌氏 矢野監督の希望で安芸キャプの臨時コーチに就任。阪神帽をかぶり、ユニホームのパンツもタテジマ姿で連日熱血指導した。藤浪には制球難を克服するために横振りを改善する必要性を説き、腕が自然と縦振りになるチェンジアップの習得を勧めた。同じ左腕の岩貞には、手で壁を作る意識を、今季9勝の青柳にはシンカーの投げ方を伝授。ナインもレジェンドの指導に感謝し、来春のキャンプでも臨時コーチを務めることが内定した。

◆井上一樹氏 矢野監督の希望で今秋打撃コーチに就任。安芸キャンプ初日から、6時間ぶっ続けの熱血塾を開講し、下半身強化の球拾いに始まり、電子ホイッスルに合わせてスイングさせるなど、独自色たっぷりの指導を展開した。スイングに汗を流す中谷に「振り谷」、成長の余地を認める高山に「まだまだ“低山”や」と命名するなどユーモアも満載。自称「コミュニケーション・モンスター」が、積極対話を重視して打力アップに力を入れた。