ブラゼルの再来や! 阪神が来季新外国人候補として、大リーグ通算92本塁打のジャスティン・ボア内野手(31=エンゼルスFA)の獲得調査を進めていることが25日、分かった。

長打力が持ち味の左打者は、かつて阪神に在籍し10年に47本塁打を放ったクレイグ・ブラゼル氏の打撃をほうふつさせる。ポジションはマイナーも含めて一塁のみを守る。近日中に契約合意にいたる可能性があり、交渉が注目される。

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左打席からボールをバットに乗せる打撃フォームは、虎党の記憶にも強く残るあのスラッガーと重なる。助っ人候補のボアはメジャー通算92発を誇るスラッガー。MLB4シーズンで2ケタ本塁打を放ち、20発以上は3度ある。10年シーズンに阪神で47本塁打をかっ飛ばしたブラゼルの放物線を思い起こさせる打撃が大きな魅力だ。

今季はエンゼルスで52試合出場して8本塁打だったが、長打力は健在。阪神が注目し続けていた存在だった。谷本球団副社長兼本部長はこの日に兵庫・西宮市の球団事務所で「リストにはおりますし、いい選手とは分かっています。詳細の調査をしている段階」と明かし、本格的な獲得調査に乗り出したことを認めた。

ボアは米球界で親日家としても知られる。マーリンズでは15年に移籍してきたイチローと3シーズン一緒にプレー。球界のレジェンドを尊敬し、日本でイチローと自主トレを行ったこともある。来日に向けて大きな支障はないとみられ、近日中に契約がまとまる可能性がある。

阪神は今季リーグ5位の94本塁打、同ワーストの538得点に終わった打線の強化が課題の1つ。甲子園の浜風もお構いなしに右翼へ本塁打を量産しそうなボアのパワフルな打撃は、4番候補としてうってつけの存在。ブラゼルは本塁打王のタイトルこそ逃したが、その再来を期待させるに十分なインパクトがある。

さらに球団では右の長距離打者も獲得に向けて調査を進めている。ボアとの両取りに成功すれば、今季105試合で12本塁打を放ったマルテとともに強力な打線を形成しそうだ。来季15年ぶりのリーグ優勝に向け、着実に戦力強化を進めている。

▼阪神時代のブラゼル 西武を退団し、米独立リーグでプレーしていたブラゼルを、09年5月に獲得。6月5日のオリックス戦で、金子から2ランを放つ派手なデビューを飾る。10年は7番打者でスタートし、前半戦だけで30本塁打。本塁打を打った後、ベンチで待つ同僚らと、足と手を互いに上げて喜び合うパフォーマンスが「ブラダンス」と呼ばれ人気を博した。この年の球宴はプラスワン投票で初選出。第2戦で同点本塁打を放つと、セのベンチ前で巨人阿部やラミレスらとブラダンスを披露した。12年オフの退団後はロッテで2年プレーした。

◆ジャスティン・ボア(Justin Bour)1988年5月28日生まれ。米ワシントンDC出身。MLB通算92発を誇る左のスラッガー。14年にマーリンズでメジャーデビューし、15年は129試合に出場して23本塁打。17年は25本塁打を記録するなど4シーズン連続2ケタ本塁打。今季はエンゼルスでプレーした。193センチ、122キロ。右投げ左打ち。