プロ野球の快記録や珍記録を振り返る「データで見る19年」を連載します。プロ野球を球団別に12回連載。続いて日本人大リーガーを取り上げます。第2回はオリックス。

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山岡が勝率7割6分5厘、山本が防御率1・95で、ともに初タイトルを獲得した。2人は17年にオリックスへ入団。同期で入団の2投手が一緒にタイトル獲得は、85年入団の河野が防御率1位、松浦が最多勝の88年日本ハム以来、31年ぶり。最下位球団から勝率1位は4人目で、防御率1位は5人目。勝利、防御率、勝率の「投手3冠部門」のタイトル獲得投手が2人いて最下位はオリックスが初だった。

高校からプロ入りの山本は今年21歳。21歳以下のシーズンに防御率1位は15年大谷(日本ハム=21歳)以来で、防御率1点台は07年ダルビッシュ(日本ハム=21歳)以来、12年ぶり。ただし、大谷の防御率は2・24、ダルビッシュの順位は2位。21歳以下の投手が1点台で防御率のタイトルは69年江夏(阪神)以来、50年ぶりだ。実は最下位球団から防御率1点台は珍しい。62年金田(国鉄)以来、57年ぶり5人目で、2リーグ制後は金田と山本だけ。最下位球団で防御率のタイトルを獲得した5人中、1点台は山本しかいない。

山岡の勝率7割6分5厘は、最下位球団の投手では13年小川(ヤクルト)75年野村(日本ハム)に次いで3番目に高かった。オリックスは打線が弱く、先発時の平均援護点が山本2・36点、山岡4・15点。1点以下の援護点が9試合あった山本よりは恵まれたものの、山岡も先発26試合のうち16試合は援護点が3点以下。この16試合に7勝4敗と勝ち越すなど、援護が少ない試合で好投しタイトルへつなげた。逆に、大量援護をもらうと気がゆるむのか、援護が4点以上あった10試合のうち8試合は失点も4点以上で、77失点は高橋光(西武)と並びリーグ最多。史上初の「リーグ最多失点で最高勝率」の珍記録をつくった。【伊藤友一】

▼最下位のオリックスは5年連続Bクラス。この5年間は得点順位が(5)→(6)→(4)→(4)→(6)、打率順位が(5)→(6)→(4)→(5)→(6)、本塁打順位が(4)→(5)→(4)→(5)→(5)。15年以降、この3部門がすべてBクラスはオリックスだけ。今季は5本塁打以上が吉田正29本、ロメロ18本、モヤ10本の3人しかいない。2リーグ制後、5本以上打った日本人選手が1人は58年東映、06年楽天、11年ヤクルトに次いで4度目のワーストタイ記録だ。3ラン7本、満塁1本と、走者を2人以上置いての1発が少なく、逆転弾が今季両リーグ最少の2本しかなかった。