阪神藤川球児投手が39歳とは思えない投球を見せた。後半戦から抑えを任されるなど安定した投球を披露した今季、特に目立ったのが奪三振の多さ。セイバーの指標の1つ「K%(奪三振割合)」では、今季50試合以上に登板した48人の中では3位の36・7%。上位には20代の投手が並ぶ中、39歳で堂々のランクイン。アラフォー藤川が若手に負けない奪三振能力の高さを見せつけた。

奪三振÷対戦打者数で計算するK%は、平均が18~20%、救援投手では27%以上で一流、30%以上で超一流とされ、藤川の36・7%は文句なしの成績だった。50試合以上に登板してK%が35%を超えたのは、今年の4投手を含めて延べ22人いるが、39歳シーズンで記録したのは藤川が初めて。表に名を連ねるのが6度目となった藤川にとっては「恒例」かもしれないが、年齢を考えれば「異例」の数字だ。

一般的に年齢を重ねるほど、三振を多く奪うのは難しくなる。過去20年の投手のK%を年代別に見ても、20代前半をピークに右肩下がりになっていることが分かる。しかし今季の藤川は数字を落とすどころか、20代の頃のような成績まで復活させた。39歳以上では「50試合登板」の条件を外しても、30%を超えるK%を記録したのは藤川しかいない。奪三振能力の高さは、この年代ではとび抜けていた。

来年は節目の40歳を迎える。日本では40代で30%を超えるK%を記録した投手はいないが、メジャーでは16年に41歳の上原(Rソックス)が記録した34・2%が日本人以外を含めても史上最高。先輩右腕の数字を1つの目標に、来季も年齢を逆行するような若々しい姿を見せてほしい。【多田周平】