潜水艦の作り方とは? 日本製鉄かずさマジック・渡辺俊介監督(43)が13日、渋谷区・国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれた全日本野球協会主催の指導者講習会に講師として参加した。

少年野球コーチから高校野球指導者まで、全国から集まった受講者へ「投球の教え方」を伝授した。質問に答える形式での授業。矢継ぎ早に飛んだのは「アンダースロー投手の育て方」。世界一低いと言われたサブマリンの「潜水観」に潜入した。

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<1>スナップスローを意識

「内野手出身のアンダースローが多い。山田久志さんもそう」。投手と野手で腕の使い方が違うように思えるが、実は軽やかにスナップスローをする内野手の動きがアンダースローの基本になる。ゴロを捕球し、下手投げの高さでスナップスローをする練習を育成の第1段階とした。

<2>腕は振るな

振るものではなく、勝手に振られるもの。「腕を振れ」と指導はしない。腕だけ意識するのではなく、体全体を連動させて投げる。「勝手に腕が振れている球は遅くても打たれない。球が速くても打たれる投手は腕だけのアーム投げになっているから」と力説した。

<3>スライダーを投げてキャッチボール

ノビのある球を投げるために必要なことは、できるだけ体の近くで腕をしならせること。そのための練習として、スライダーでのキャッチボールを勧めた。腕を内転させて投球するため、体の内側に入りやすくなり、リリースポイントも打者寄りになる。直球を投げるのに、上手投げではボールにバックスピンをかけるのが、アンダーでのスライダー回転。「曲がらないカットボールのイメージ」。スピードガンより速く感じさせるコツを明かした。

<4>アンダースローはやるな

日の丸を背負った潜水艦も、中学時代は上手投げの3番手投手だった。「1番手2番手もオーバー。なら1人ぐらい変則でもいいかな」とアンダー転向。大学社会人を経てプロまで上りつめた。「アンダースローにして良かった」と振り返るが、安易に投げ方を変えることは推奨しない。横回転させる骨盤の動かし方が独特なためそれしかできなくなり、元に戻れないことをデメリットに挙げた。「野球選手としての伸びしろを止めてしまう」。まだ成長途中の球児たちの指導者に対して、目先の勝利より選手の将来を優先させることを求めた。【湯本勝大】

◆渡辺俊介(わたなべ・しゅんすけ)1976年(昭51)8月27日、栃木県生まれ。国学院栃木-国学院大-新日鉄君津を経て、00年ドラフト4位でロッテ入団。05年に15勝を挙げ、日本一に貢献。13年までプレーし、通算255試合、87勝82敗、防御率3・65。退団後はレッドソックスとマイナー契約も14年3月に解雇。米独立リーグを経て、15年に新日鉄住金かずさマジックにコーチ兼任で復帰。19年からコーチ専任し、今年から監督。00年シドニー五輪、06、09年WBC日本代表。現役時代は177センチ、70キロ。右投げ右打ち。