西武の全体会議が15日、埼玉・川越プリンスホテルで行われ、14年ぶり古巣復帰の松坂大輔投手(39)が春季キャンプA班(1軍)スタートに決まった。

辻発彦監督(61)は「体にどこも心配するところがない。十分戦力になると思って選びました。今年にかける松坂がどういうキャンプを過ごすのか。若い選手にも参考になる」と期待を込めた。右ふくらはぎの張りを訴えている中村剛也内野手(36)ベテラン内海哲也投手(37)はB班(2軍)に振り分けられた。

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全体会議を終えて記者に囲まれた辻監督は、松坂の話題になると顔をほころばせた。「(南郷に)行きます。Aです。(渡辺)GMから(体調面を)聞いているし、走れるし、投げられるというのであればいいと思う」とコンディションに不安がないことを強調。調整法にも「本人に任せる? もちろんそうです。投手コーチともしっかり話をするでしょうし」と、ワールドシリーズも制した右腕に全幅の信頼を示した。

辻監督は松坂本人の活躍に加え、チームへの影響にも期待する。これまで何度も苦難、ケガを乗り越えて現役を続けてきた。「やっぱり、自分は野球が好きなんだなと思います。また、その気持ちだけでは、プロの世界でやれるわけではない」という松坂。壁にぶち当たるたびに試行錯誤を繰り返して活路を見いだしてきた姿は、間違いなく若手の教科書にもなる。

若い頃は真っすぐの勢いで打者をねじ伏せる剛球派。現在はカットボールなど変化球でタイミングを外し、打者のバランスを崩す投球が生命線だ。日米通算200勝まであと30勝。「終わりというものがだんだん近づいている中で、同時に達成したい気持ちが強くなっているのも確か。周りは無理だという人が多いかとは思いますけど、自分自身が諦めることはしたくない」(松坂)という姿勢を辻監督も高く評価。「今年に懸ける松坂がどういうキャンプを過ごすのか。若い選手にも参考になる」という。

西武は2年連続でパ・リーグを制しながら、いずれもクライマックスシリーズでソフトバンクに行く手を阻まれている。辻監督は「今年は秋山という支柱が抜けて、若い選手にも大きなチャンスになる。チームで激しい競争が間違いなく起きる。常勝ライオンズを作るために、そういう競争が大きな力となると思うので、チームが変わってほしい、変わるぞという気持ちでいます」。もちろん競争は投手陣にも及ぶ。実績十分の松坂も、今井や高橋光らとの競争を勝ち抜かなければ公式戦の先発マウンドには立てない。その戦いがもうすぐ幕を開ける。【千葉修宏】

▽A班スタートが決まった西武ドラフト2位浜屋将太投手(20=三菱日立PS)「キャンプでは、先輩方に1年間通してどのような調整をしているかを聞きたい。松坂投手は経験をたくさん積まれているので、マウンドさばきやバッターとの駆け引きなどについて聞いてみたいです。開幕1軍を狙います」

▽A班スタートが決まった西武ドラフト5位柘植世那捕手(22=ホンダ鈴鹿)「まずは守備だと思うので、プロでどういうプレーが通用するのか、送球やブロッキングの基本を学びたい。松坂投手はテレビで見ていた憧れの存在。球を捕るのが夢のようです。機会があれば受けてみたいです」

<松坂の日本復帰後の春季キャンプ>

◆15年 9年ぶり復帰の年は主力中心のA組で始動。初日は報道陣をシャットアウトし、ブルペン入り。60~70球を立ち投げで行った。5日に再びブルペン入りし、約100人のファンが見守る中35球投げた。

◆16年 前年に右肩手術を受けた影響もあり、B組スタート。初日から捕手を座らせてブルペンで50球投げ、7日にはマメをつぶしながら95球投げ続けた。

◆17年 2年連続B組スタート。前年から9キロ体重を減らして臨み、初日からブルペンで59球。4日には「いつまででも投げられる感じ」と135球投げ、7日にも239球。

◆18年 1月に入団テストを経て中日入りし、1軍スタート。2月2日からブルペンに入り、立ち投げで32球。初のセ・リーグ移籍で打撃練習も行い、102スイングで快音を連発。

◆19年 1軍スタートも前年の疲労の影響で軽めに調整。ファンと接触した際に右腕を引かれて右肩違和感を覚え、11日に球団からノースロー調整に入ると発表。翌日には右肩炎症と診断され、キャンプを離脱。