阪神の新外国人ジャスティン・ボーア内野手(31=エンゼルス)が、推定150メートル弾を含む14本の柵越えを放って衝撃デビューした。1日、沖縄・宜野座でキャンプイン。ランチ特打に登場したメジャー通算92本塁打の左の大砲は、手袋をつけずに素手で打つスタイルで左中間へも3連発など広角に飛ばした。

他球団のスコアラーはバース、ブラゼルに似たタイプとして早くも警戒。8人体制となった外国人選手を追う「助っ人ウォッチ」で、4番候補の打席での考えに迫った。

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春季キャンプ初日は目の覚めるようなボーア劇場で幕を開けた。いきなり登場したランチ特打。捉えた打球がピンポン球のようにはじき飛んでいった。「感じは良かったです」。右中間席の後方にある松林上方に飛び込む推定150メートル弾もあり、驚愕(きょうがく)のパワーに宜野座が揺れた。

技でも魅了した。左打席に入って最初の数球で感覚を慣らすと、名刺代わりの1発を逆方向の左翼へ。チームの「キャンプ1号」に拍手が湧く中、左へ2本続けて3連発とした。「これだけお客さんもいますし、自分で気持ちも高ぶっていた。どうしても力が入るので、無理に引っ張るより外の球を逆方向に打ち返すというのがしたかった」。打席内では打撃投手にジェスチャーで外角寄りのボールを要求。約2500人のファンの前でも冷静だった。

ボーアは日本では珍しい素手スタイルも目を引いた。「自分はずっとこうやってきた。手でバットの感触を感じていたい。しっくりくる」。54スイングで柵越えは2度の3連続も含めて14本だった。150メートル弾やバックスクリーン直撃弾など飛距離も存分にアピールしつつ、14発中8発が中堅から逆方向と広角に打ち分けた。「思っているイメージ通りの力強いスイングができている。順調な証拠だと思います」。涼しい顔で振り返った。

視察に訪れた他球団スコアラーも舌を巻いた。巨人中里スコアラーは「差し込まれてもパワーで持っていく。(後は)どれくらい確率を残せるか。バース、ブラゼルみたいな感じですかね。初日にしては衝撃的」。成績を残した同じ左打ちの歴代助っ人の名前を挙げて警戒を強めた。

投内連係では7度の守備機会を難なくこなした。ベースランニングでは巨体をかがめてバントの構えからスタート。球場内の爆笑を誘った。「すごくワクワクした気持ちで初日は本当に楽しみでした。体も動きましたし、いい1日を過ごせました」。20年シーズンの4番候補、ボーアの伝説がスタートした。【奥田隼人】

▽阪神井上打撃コーチ(新助っ人ボーア、サンズの打撃をチェックし)「ボーアはパワーがありますね。相手投手は怖いと思います。サンズは意外と穴が少ないですね。ただ、セ・リーグである以上、守備に就かないといけない。2人とも絞っていかないといけない」

▽DeNA東野スコアラー(ボーアについて)「あれだけ長打力もある。ブラゼルを思わせるようなバッター。注意して見ていかないといけない。変化球の対応がどうか」

▽広島田中スコアラー(ボーアについて)「いいスイングをしている。あれだけの飛距離も出て、捉える確率もある。『これはやるだろうな』という印象」