ロッテ福田秀平外野手(31)が突っ走っている。7日、ヤクルト戦(神宮)でオープン戦2本目となる先頭打者本塁打を放った。オープン戦5試合を終え、13打数8安打の打率6割1分5厘で首位打者に君臨する。オフにソフトバンクからFA移籍で加入し、「打」「足」「声」の3つでロッテ打線をけん引。シーズンでも大きな期待がかかる。

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「1番センター福田秀」が板についてきた。「どの打順でも自分の打撃ができるように」とこだわりはない。井口監督は「上位で打ってほしい」と2番、3番起用も視野に入れる。それでもトップを任せたくなる存在感を示す。

<1>打撃 エース級も打ち砕く。1回先頭、開幕投手に内定するヤクルト石川の変化球を右翼席へ運んだ。「200勝目前の大投手の方なので、打てて良かった。実際に打席に立って、際どい球ばかりだったので」。オープン戦では楽天松井、オリックス山本からも2安打。大物を苦にしない。

5試合中4試合で、第1打席に安打。「1打席目はすごく大事にしている」と好結果に満足する。試合直前のミーティングが終わると、一目散にグラウンドで体を動かし初回に備える。「タイミングを大きく取れているのも感じます」とも好調の要因を話す。

<2>走塁 5試合で3盗塁。この日も3回、四球で出塁後に走った。しかし「だまされました」と苦笑い。盗塁企画後、打者の角中が中前にはじき返した。ヤクルトの遊撃手エスコバーが福田秀の三塁進塁を阻むべく、盗塁阻止の“演技”で空タッチを試みたのだ。

通常ならヒットエンドランとして、悠々と三塁へ進める状況だった。だまされてスライディングしたことを「反省点です」としたが「すぐに切り替えました」と立ち上がり、三塁をぎりぎりで陥れた。速度ゼロからの急発進。その抜群の脚力は、中堅守備にも存分に生かされる。

<3>声 移籍1年目の立場に遠慮せず、ベンチを盛り上げる。「後ろに松田さんやムネさん(元ソフトバンク川崎)がいるような感覚です」と鼓舞を続ける。おとなしめの若手が多いチームでは貴重な存在だ。

打率や盗塁の数値目標は掲げない。「1日1日、いいコンディションで続けることが大事」とだけ、柱を定める。福田秀がロッテにもたらすものは、数字以上に大きい。【金子真仁】