西武山川穂高内野手(28)が“最後”のどすこいポーズを届けた。13日、本拠地メットライフドームで今季初戦となったヤクルトとのオープン戦で、7回に左翼席上段へ特大2ランを描いた。ベンチ前では、テレビで見るファンへ渾身(こんしん)のどすこいを披露。

前日コロナウイルス対策で、観客と一緒に行うパフォーマンスが、感染リスクが高い行為とされていた。試合後、同様に熱男パフォーマンスのソフトバンク松田宣浩内野手(36)と電話会談を行い、14日以降どすこいの一時自粛を決めた。

   ◇   ◇   ◇

着信履歴には熱男が残っていた。試合を終えた山川が、ロッカーで握るスマホが再び鳴る。急きょ松田との2大パフォーマー会談が行われ、14日以降どすこいパフォーマンスの自粛を決めて報告した。「やらない方向でという話をしました。上の人(NPB)がしっかり考えて決定したこと、与えられた範囲内でやれれば。明日からは打ったら『調子乗っちゃって』をやります」と、18年までのゆりやんレトリィバァのポーズに変更する。

一時的とはいえ、まさかラストパフォーマンスになるとは思っていなかった。3打数3安打で迎えた7回の第4打席。118キロのカーブをコンパクトかつ豪快に振り抜き、左翼席上段へ運んだ。ベンチではテレビで見ているファンに向けて、どすこいポーズ。「今日のところは人がいなかったので勝手にやりました。ファンのためにやっているので」。1試合4安打となるオープン戦3号だった。

前日に行われた第3回新型コロナウイルス対策連絡会議。感染症対策として、観客とともに行うパフォーマンスが「感染リスクの高い行為」とされていた。無観客を前提としない開幕以降は、自粛ムードが漂っていた。熱男パフォーマンスの“西の横綱”との話し合いで、一時自粛を決定。世界中を駆け回るウイルスの猛威に「終わらないことはない。終わりさえすれば」と解禁を信じて決断した。

3年連続本塁打王に挑むため、誰よりも開幕を待ちわびている。「1日も早く開幕ができればいいな。ストレスがたまるのはファンのみんなも僕らも一緒。協力して、今できることをみんなでやっていけば、菌も撃退できるかもしれない」。下を向かず明るく元気に-。豪快を地でいくホームラン王が、ファンを味方に戦っていく。【栗田成芳】