阪神藤浪が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性となり、プロ野球が目標としていた4月24日の開幕が暗礁に乗り上げる可能性が出てきた。

専門家チームからは「陽性者が1人出たら全員が自宅待機になるかは個々のケースで考えていく」とされていた。感染者が出てもチームはすぐに活動停止にはならず、濃厚接触者の自宅待機や厳正な健康チェックなどで対応し、試合や練習を行う方向となっていた。だが東京都が「感染爆発の重大局面」を迎え、国内での危機感も高まる一方。その中でついに球界からも未知のウイルスに対する罹患者が出てしまった。その衝撃度は大きく、23日に決議したばかりの「4・24開幕」は揺らぐことになった。

Jリーグとの新型コロナ対策連絡会議で感染疑いが出た場合の対応について協議してきた。37度5分以上の発熱が2日以上続いた場合はチームドクターに報告。地域アドバイザーの専門家の助言に基づき、濃厚接触者の洗い出しに努め、症状に応じてPCR検査を受ける。検査を受けることが決まれば、その時点で名前を公表し、後に結果も明かす方針も固めていた。

NPBの選手では初めての感染疑いの事例に、26日の昼すぎに井原敦事務局長は「昨日(25日)から連絡はいただいていた。地域アドバイザーの先生とも連絡を取りながら、阪神の方で進めました」と冷静に対処していると説明した。一方で藤浪が訴えた嗅覚異常については12日に発表された意見書には書かれていなかった。最近になって感染者が嗅覚や味覚を失ったとの報告が世界各地で相次いでいる。謎が多い新型コロナウイルスに、球界初の感染者が重なり、プロ野球の出発が再び不透明になってきた。