#開幕を待つファンへ 熱いシーズンはまだ見られないけど、ドラマチックな場面を今年も見たい。そこで、これまで球史に残るワンシーンを生み出してきた「代打の切り札」を深掘りした。12球団の現時点での代打事情から、雌雄を決する一打を放つ極意にまで迫った。

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◆巨人 右の代打は「ダイナマイト・シンゴ」石川が、存在感を示す。昨年8月24日のDeNA戦(東京ドーム)では延長11回に代打サヨナラ本塁打を放ち、チームに優勝マジック20を点灯させた。昨年の代打成績は35打数10安打でチームトップの2本塁打。陽はリーグ1位の打率3割9分4厘を記録した。左の代打としては、重信らの名前が挙がる。昨年7月23日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)では、代打でプロ初のサヨナラ打を放った。亀井、大城など1発が期待できる選手もスタメンではない場合、1打席で試合の流れを変えられる力がある。

◆DeNA 昨季、代打での打率3割4分4厘の佐野がレギュラーとなり「切り札」不在の状況だ。右打者の中井が昨季は右投手に打率2割1分2厘で0本塁打、左投手には同2割6分6厘で3本塁打と得意としており「対左の切り札」となりそう。左では乙坂らの好打者がそろう。

◆阪神 右の代打には原口、陽川が候補に挙がる。原口はオープン戦打率3割5分7厘、陽川は同10試合21打席で8打点と、ともに好調と勝負強さが際立った。外国人選手については枠の関係もあるが、三塁を争っているマルテと大山、外野争いに参戦しているサンズが、先発メンバーから外れた際に、右の代打としてスタンバイするケースがありそう。さらにチーム内では外野争いも激しく、左打者では福留、糸井、高山がベンチスタートとなったときに、脅威の存在となる可能性がある。

◆広島 右打者ではスタメンとしての出場の可能性もあるピレラ、長野を筆頭に、堂林、高橋大が切り札として有力。左では安部、小園がベンチスタートの場合は代打としての起用が期待される。他にも打撃で安定した結果を残し続けている坂倉も候補に入ってくる。

◆中日 現時点では、右の武田、左の井領、渡辺が有力候補。今後の実戦で経験を積みたいところ。昨季故障でリタイアしたアルモンテが復調傾向にあり、スイッチヒッターで長打力もあるため代打の切り札1番手になる。アルモンテが左翼で復帰することになれば、現在左翼を守る福田が代打として控える形も。また昨オフに右肘クリーニング手術に踏み切り、3月下旬に1軍復帰した堂上も攻守の控えとして重宝される存在だ。

◆ヤクルト 今年も荒木が代打の中心となりそうだ。昨季西田とともにチャンスの場面を託された。ともに右打ち。15年の首位打者・川端が1月に腰を手術していまだ2軍調整中とあって、現状では左打者に“職人”は見当たらない。宮出ヘッドコーチは「左の代打が絶対に要るとは思っていない。右の変則投手は少ないし。対右(投手)でも打てる(右)バッターがいれば、右左にこだわる必要ないのかなと思います」と右の荒木に信頼を寄せている。