阪神がNPBでは史上初となる「投げ銭」システムを導入することが25日、分かった。MBSメディアホールディングス傘下のMGスポーツ(本社・大阪市)が発表した。スポーツ特化型ギフティングウエブサービスを運用するエンゲート(本社・東京)と提携し、阪神球団が承認した。

「投げ銭」はスポーツ界のトレンドになりつつあるが、これまでプロ野球では深く浸透してこなかった。今回は「スカパー!を見ながらエンゲートで阪神タイガースを応援しよう!」と銘打たれたトークイベントで、26日からのDeNA3連戦(横浜)で実施する。

26日午後5時半からイベントを開始。26、27日は球団OBの亀山努氏が、28日は藪恵壹氏がエンゲートのサイト内でのイベントに出演する。なお、試合はスカパー!での観戦を呼びかける。MGスポーツは「ファンの皆様より頂いたギフトにつきましては、選手への還元はもちろん、タイガースアカデミーを中心としたジュニア育成、また社会貢献活動にもご活用させていただきます」と説明した。

「投げ銭」はデジタル技術を用いた寄付(ギフティング)サービスで、ユーザーはオンライン上で金銭や金銭に準じるギフトをチームや選手に提供する。チームの勝利や選手個々のプレーに対して、ファンが直接対価を払う流れだ。エンゲートでは、サッカーJリーグ7チームやバスケットボールBリーグ9チームなどのほか、ハンドボール湧永製薬やアイスホッケーのアイスバックスなど、49チーム以上が運用している。さまざまな試合状況が発生して、プレーの静止時間が長い野球は「投げ銭」しやすいスポーツといえる。

新型コロナウイルスの感染拡大で、6月19日に当初から3カ月遅れの開幕を迎えた。無観客試合でスタートし、7月10日以降の観客収容が解禁されるが、各球団の重要な収入源である入場券収入の激減は確実だ。NPBは通常1試合で1億円から2億円ほどの収入があるとされる。放映権、グッズ販売、広告スポンサー、球場飲食など多岐にわたり、入場券が収益の半分近くを占める球団もあるという。未曽有の窮地で、各チームともに新たな財源モデルを模索している状況だ。

なによりも、プロ野球を待ち望むファンにとって、チームや選手との新たな交流の場が生まれそうだ。阪神はコロナ禍のなかでも歩みを止めず、積極的にファンサービスを継続。開幕前には矢野監督らが球団ファンクラブのオンラインイベントに登場して交流した。「投げ銭」システムも阪神の承認サービスとして導入が決定したもの。球界において、新しいファンサービスの潮流になるかもしれない。

○…エンゲートの阪神アカウント開設に合わせてキャンペーンも実施される。ギフティングしたユーザーには、ポイント数に応じて「オリジナルスマホ用壁紙」や「非売品タイガースオリジナルグッズ」をプレゼントする。阪神アカウントURLは以下の通り。https://engate.jp/communities/hanshintigers