山賊が鷹狩りで6連戦を4勝2敗と勝ち越した。西武が森友哉捕手(24)の決勝打で今季初のサヨナラ勝ちし、3連勝を決めた。28日は、3年前に亡くなった森慎二氏(当時投手コーチ)の命日。宿敵ソフトバンクとの6連戦では教え子の中継ぎ陣が抜群の安定感を発揮し、3連勝すべてが逆転勝ち。今季初の貯金1とした。

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継投でつないだ勝機を、初球から打ちにいった。同点で迎えた9回無死満塁。これ以上ない絶好機に、3番森に迷いはなかった。「すごい楽な気持ちで、初球から。外野フライ打てば1点入るんで、もう思い切っていきました」。ソフトバンク泉のフォークを捉え中前へ。ウオーターシャワーも、もみくちゃにされることもない。「でも、みんな喜んでくれてよかった」と、今季初のサヨナラ勝利を分かち合った。

1、2回に3点を失ったものの、3回以降は投手陣が強力打線を無安打無失点に抑えた。先発与座から代わった平井が7回、新戦力の剛腕ギャレットは8回、最後は守護神の増田がいずれも3者凡退に抑える盤石の投球。5回以降は宿敵ソフトバンク打線を13人連続凡打に抑え、6回に山川の同点弾、9回のサヨナラ劇勝へとつないだ。辻監督は「非常に気持ちが入っていて、平井もそうだし、ギャレットも非常にここにきて3試合素晴らしく、自信をつけてくれた。増田も安定しているし、いいと思います」と、2連覇したここ2年にはない手応えを口にした。

あの日からちょうど3年。17年6月28日、投手コーチだった森慎二氏が多臓器不全で42歳という若さで亡くなった。当時新人だった平井が「アニキみたいな存在。何かあればいちいち相談していた」と慕っていた恩人。増田は「打たれても次の日は切り替えろ。9回を任せてるんだから」と叱咤(しった)激励された。当時の教え子が中継ぎの大黒柱と守護神としてブルペンを支え、そこに新戦力ギャレットが加わった。平良、小川らを含めたリリーフ陣が、猛打で勝ち続けてきた西武に安定感をもたらそうとしている。

プレーボール前、君が代演奏。同監督は「それは自分の心の中で最初、国歌が流れるときにそういう思いはしました。6月28日だな」。誓った勝利を、天へ届けた。【栗田成芳】

▽西武増田(9回を3者凡退に抑え初白星)「常にチームに貢献することだけを考えていますので、今日はしっかり無失点に抑えられ、貢献できてよかった」